せっかく高性能なレーザー加工機を導入しても、使い方が分からなければ求める加工品質を再現することはできません。また、一部の人間だけしかレーザー加工機の使い方を分かっていない場合、作業の属人性が強まって結果的に作業効率が低下する恐れもあります。
そのため、レーザー加工機の導入プランについて比較検討する際、必ず操作方法やマニュアルといった使い方に関しても考慮しておくことが大切です。
このページでは、一般的なレーザー加工機の使い方や手順、意識すべきポイントをまとめていますので参考にしてください。
レーザー加工機を使ってプリントや印字を行う場合、あらかじめデザインやロゴ、文字などについて加工用データを作成しておかなければなりません。
レーザー加工機に使用する加工用データを作成する場合、一般的には画像処理ソフト(グラフィックソフト)やCADソフトなどを使います。また、スキャナーを利用して画像をデジタルデータとして読み込める場合、手書きや写真といった物理メディアをレーザー加工用のデータに変換することも可能です。
ただし、レーザー加工機は入力されたデータをそのままレーザー加工として反映させるため、最初に作成したデータに誤りやミスがあれば加工品質も低下してしまいます。
加工用データの作成についてノウハウやスキルがない場合、専門会社へアウトソーシングすることも可能です。
レーザーの出力レベルは目的とする加工やデザイン、ワークの素材などによって適正な範囲が異なります。そのため、レーザー加工を始める前にレーザーの出力レベルをきちんと設定することが重要です。
レーザーの出力レベルについては事前に適正値をシミュレーションした上で確認しておかなければなりません。また、出力調整の方法についてはレーザー加工機ごとに異なるため、あらかじめマニュアルなどで使い方を把握しておきましょう。
ワークに対して不適正な出力レベルでレーザーを照射してしまうと、正しく加工用データのデザインなどが反映されなかったり、ワークが過剰に焦げて変色したりといった不具合が量産されてしまいます。また、そもそもレーザー加工機によって出力可能なレベルに差があることもポイントです。
加工用データの作成とレーザー加工機の設定が終われば、加工したい材料(ワーク)を加工ステージへ設置します。
設置方法は加工法やワークのサイズ、形状などによって異なり、状況に合わせて固定が必要な場合もあるでしょう。なお、加工する場所にずれがあれば加工結果に誤差が生じてしまうため注意してください。
必要なデータや加工条件がそろえば、いよいよレーザー加工機を作動させてレーザー加工を行います。
レーザー加工中のレーザー照射や位置調整は自動的に行われますが、だからこそ事前にデータや環境を整えておくことが必要です。なお、加工中にもしも火災や事故が発生した場合、すぐに作業を止められるよう停止装置の使い方や非常時マニュアルについても把握しておくことが肝要です。
レーザー加工機を導入する場合、そもそもワークの特性や加工する目的をきちんと把握した上で加工機を比較検討しなければなりません。
レーザー加工機と一口にいっても様々な製品があり、ワークによってレーザーの種類にも適合条件が存在しています。レーザー加工機によっては特定の素材や薄いワークにしか加工を行えない場合もあり、事前に求めるニーズをしっかりとリストアップした上で導入プランの比較検討を実施することが重要です。
保護メガネは作業員の安全を守る保護具の1つです。レーザー加工では強力な光が発生するため、裸眼でレーザーが照射されている部位を見つめると目を痛めてしまう恐れがあります。また、粉塵などが発生して目に入り、それも労災事故のリスクになるでしょう。
保護メガネを始めとしてレーザー加工では様々な保護具が必要とされており、作業環境や加工条件に合わせて適した保護具を利用することが必要です。
なお、普段から保護具の使用の徹底などを社員教育として啓蒙しておくことも欠かせません。
レーザー加工機の使い方として注意すべきポイントの1つが、火災リスクへの予防です。
レーザー加工では、レーザーの強力なエネルギーによってワークの対象部位を蒸発させて切断や彫刻といった加工を施します。そのため、レーザー加工では常に高エネルギーが使用されており、使い方を誤ればワークや粉塵に引火して火災事故につながりかねません。
適切な利用条件を守って火災事故のリスクを抑えることだけでなく、万が一に火災が発生した際の対処についても日常的に訓練しておきましょう。
レーザー加工機の使用における注意点として、塩化ビニールが使用されたり含まれたりしているワークを使わないということが挙げられます。
塩化ビニールにレーザーが照射されると、化学反応を起こして人体に有害なガスや物質が発生します。そのため、必ずワークに塩化ビニールが含まれていないことを事前にチェックしておかなければなりません。
また、塩化ビニールの他にも有害物質やリスクがないかあらかじめ確認しておきましょう。
レーザー加工機では非常に微少なワークや繊細なワークへ加工を施すこともありますが、それらのワークは室内の温度や湿度によって形状変化を起こす可能性があります。
温度によってワークが伸びたり縮んだりすると、レーザー照射の座標が狂って適切な加工が再現されません。そのため、空調設備や除湿機などを使って室内の温度や湿度といった環境条件を正しく整えておきます。
なお、レーザー加工時に発生した熱で温度が変化しないように管理することも大切です。
レーザー加工機で目的とする加工作業の代表例が「切断(カッティング)」です。
レーザー加工機やレーザーカッターを用いれば、刃物や砥石を使うことなくワークを切断できます。そのため硬いワークを切断する場合でも、カッターの刃が摩耗して故障するといった心配はありません。
ただしレーザーの熱によって断面が焦げて変色する場合があり、適切な出力設定が求められます。
レーザーのエネルギーによって熱を発生させて、ワークや素材を溶かして接合する溶接加工も代表的です。
レーザー溶接はアーク溶接と比較して局所的な溶接加工に適しており、融点の異なる素材であっても歪みを抑えながら溶着させることが可能です。ただし、溶接対象の素材や形状によってはレーザー溶接を行えない場合もあります。
レーザー加工機に入力したデザインやロゴを、ワークの表面にマーキングする加工です。デザインを再現する仕組みとしてはレーザーの熱によってワーク表面を削ったり焦がしたり、変色させたりと様々なパターンが存在しています。
なお、レーザー加工によるマーキングには「マスク方式」と「スキャン方式」の大きく2種類があり、マスク方式では事前に専用の「型」を作成しておかなければなりません。
マーキングよりもさらに深くワークを加工して、立体的に彫刻することも可能です。
レーザー加工機による彫刻ではレーザーの出力や照射速度といった条件をきちんと設定することがポイントになっており、適切な設定値に整えることで任意の深さや形状に整えられます。ただし加工条件を誤ればワークが溶けたり焦げたりといったリスクもあります。
レーザー加工機ではマーキングや印字の他にも様々な表面処理・表面加工を施すことが可能です。
たとえばレーザーの熱を利用してワークの表面に焼き入れ加工を行ったり、ワーク表面に金属粉末を設置してレーザーを照射することで溶融・溶着させて合金化したりといったことができます。また異なる素材を溶着させて「肉盛り」することもあります。
レーザー加工機では色々な目的に合わせて各種加工を再現できますが、そのためには適切な使い方や条件設定を守らなければなりません。
レーザー加工機の使い方を誤れば火災事故や労災事故にもつながるため、正しい使い方や手順を確認しておきましょう。
レーザー加工機はその種類によって素材の向き・不向きがあります。
ここでは少量生産を行う企業に向け、加工したい素材別におすすめのレーザー加工機をご紹介します。
レーザー加工機はその種類によって素材の向き・不向きがあります。
ここでは、大量生産を行う企業に向け、加工したい素材別におすすめのレーザー加工機をご紹介します。