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ステンレスのレーザー加工について

このページでは、日本のものづくり業界で使われる一般的な金属素材として、ステンレス(ステンレス鋼:Stainless Steel)の特徴や、レーザー加工でステンレスを取り扱う際のポイントなどをまとめて解説しています。

レーザー加工におけるステンレスの特徴

ステンレス(ステンレス鋼:Stainless Steel)とは、日本語で「錆びにくい鉄(鋼)」という意味を持つ言葉であり、文字通り一般的な鉄よりも耐蝕性や耐熱性などに優れている金属素材です。そのためステンレスは様々な業界や目的で利用されており、食器や日用品、建築資材、機械部品、医療用機器など色々なものに使われていることは見逃せません。

また、ステンレスは100%リサイクル可能な金属素材として、環境対策を考える上でも注目されていることが重要です。

デメリットとしてはレーザー加工によって穴あけ加工を行った場合、板が厚くなるほどレーザーの入口と出口の口径に差が生じることが挙げられます。その他、レーザーの熱によってタレパン加工よりも反りや変形が生じるリスクもあります。

レーザー加工でステンレスを扱う場合、基本的には「レーザー切断加工」が多くなることも重要です。

レーザーで切断できるステンレスの板厚

レーザー加工ではアシストガスを適切に使用することで、一般的に板厚0.1~6.0mm程度のステンレス板を切断加工することができます。ただし、板厚が増すごとにレーザー切断の調整が難しくなり、また厚くなるほどに切断にかかる時間が長く延びることもポイントです。

なお、ステンレス鋼を切断したい場合、レーザー加工機の他にもプレス加工機やシャーリングといった工業用機械を用いることもありますが、レーザー加工機による切断の方がバリやダレの少ない切断面を叶えやすいことが強みです。

レーザー加工機でステンレスを切断する場合、ファイバーレーザー加工機を用いてより厚い板を切断するケースもあります。

ファイバーレーザー加工機で切断できるステンレスの板厚

ファイバーレーザー加工機は、光ファイバーを使ってレーザーを発する加工機であり、小さな焦点に高出力のレーザーを収束できることが特徴です。そのため強力な切断力を発揮することが可能であり、ファイバーレーザー加工機であれば厚みt20mmのステンレス板まで切断できる点は見逃せません。

ファイバーレーザー加工機にはパルス発振と連続発振の2タイプがあり、ステンレス板の切断には高出力のレーザーを発振できる連続発振タイプが選択されます。

レーザー加工できる主なステンレスの種類

SUS304

ステンレスには鉄に様々な元素を含有させた合金であり、中でもSUS304はクロムとニッケルを含有しているオーステナイト系ステンレスの典型です。一般的に「ステンレス」といって考えられる金属素材としては、SUS304が利用されています。

他のステンレスと比べた場合、特別に耐蝕性に特化しているとはいえません。ただし、通常使用していく上で耐蝕性や耐酸性、隙間腐食耐性といった面で優れていることも事実です。

また、高温でも低温でも強度や耐熱性を維持できる点が特徴です。

SUS430

SUS430はフェライト系ステンレスにカテゴライズされる鋼材であり、フェライト相を生じさせることが特徴となります。SUS430は比較的安価なステンレス材として様々な業界や製品に使われており、優れた耐蝕性を持っていて加工しやすいといったメリットもあります。

基本的にSUS430は軟質状態で使用され、建物のインテリアや厨房器具、家庭用電化製品など幅広いニーズに対応していることが特徴です。

なお、SUS430は全体の18%がクロム、残りが鉄によって構成されており、「18クロムステンレス」と呼ばれることもあります。

SUS310

SUS310はステンレス鋼の中でも耐酸性化が優れている金属素材です。鉄とその他の金属元素の含有率はクロム20%、ニッケル20%、そして鉄であり、通常の使用においてSUS310が錆びることはあまりありません。また、SUS310は耐熱性にも優れており、耐熱温度はおよそ1000℃となっています。

SUS304よりも耐熱性に優れている素材ですが、コスト面でも高額になり、SUS304などと比較して使用される場面が少ないことも特徴です。

SUS316

SUS316には鉄をベースとしてクロム17%とニッケル12%の他に、モリブデンおよそ2.5%の添加物を使用されたステンレス鋼です。SUS316はステンレス鋼として耐腐食性に特徴のある素材であり、錆びにくいことがポイントとなります。そのため、SUS316は海の近くのエリアで使用する製品に使われたり、海水に触れる部品に使用されたりすることがあります。

SUS316の耐蝕性は金属表面に生じるクロムの「不動態皮膜」によってもたらされており。モリブデンがその皮膜の性能を強化している点が重要です。

ステンレスのクリーンカットに使われるアシストガスの種類

ステンレスを美しく正確にレーザー加工機で切断加工(レーザーカット)する場合、アシストガスとして一般的に「窒素(N2)」が使用されます。

窒素は不活性ガスであり、レーザー加工にアシストガスとして使用しても酸化皮膜を発生させません。そのため、加工後に溶接加工など次の工程へそのまま進むことができます。

また、窒素ガスを利用してステンレスを美しく切断する加工を、特に「クリーンカット」と呼びます。

なお、アルゴンもクリーンカットのアシストガスに用いられますが、コスト面などからステンレスに使用されるケースは多くありません。

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