レーザーは切断やマーキングだけでなく、対象物を溶接するためにも使われます。レーザー溶接の原理や種類、さらにレーザー溶接機を取り扱うメーカーをまとめました。
レーザー溶接では、強力なレーザー光を熱源として対象の金属物を融解、凝固させることによってつなぎ合わせる溶接方法です。
レーザー光の照射と同時に、アシストガスを噴射します。レーザー切断の場合、アシストガスは対象物の燃焼速度を促進させるために使われますが、レーザー溶接では対象物の酸化を防いで強度を保つ目的で使用されます。
レーザー加工機でできる
「刻印(マーキング)」について詳しく見る
光響が取り扱う レーザー溶接機の数 |
ハンドトーチレーザー溶接機(自社開発製品)のほか300社の製品 |
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博士やMBAの資格所有が在籍する「光の専門家集団」
株式会社光響は、2009年に京都市で設立した光学関連製品メーカーです。代表取締役をはじめとして、博士(光学)やMBAなどの資格保有者が多数在籍しており、取り扱う光学製品はレーザーマーカーから溶接機、クリーナーまで多岐にわたります。
溶接に使えるレーザー加工機としてはハンドトーチ型で操作しやすいレーザー溶接機を取り扱っており、友情販売に加えて月額性のサブスクリプションサービスも展開しています。
FL-AW-1500
安定的かつ高出力なファイバーレーザーを簡単に操作できるハンディ式のレーザー溶接機です。優れた操作性に加えて、レーザーパワーは1.5kWと強力なため幅広い溶接加工に対応できます。
相談受付時間:平日9:00~18:00
所在地:京都府京都市伏見区竹田西段川原町131番
取り扱い製品名一覧
対応業務:Laser as a Service (LaaS:ラース)、LiDAR、レーザー製品サブスクリプションサービス、光学製品レンタルサービス、中古・新古品の販売など、転職サポート(職業紹介、人材紹介)など
アマダが取り扱う レーザー溶接機の数 |
4製品 |
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日本全国、海外にも幅広いネットワークを持つグローバルメーカー
株式会社アマダは、北は岩手県盛岡市から南は鹿児島県鹿児島市まで20を超える営業所を構える金属メーカーであり、顧客向けのテクニカルセンターも各主要都市に設置しているネットワークの広さが特徴です。
国外への販路もグローバル規模で展開しており、グループ関連会社全91社のコネクションを活かした包括的なサービス提供を強みとしています。
FLW3000EN
アマダが自社製造するファイバーレーザーを搭載した溶接機。自動焦点制御機能や段取りナビ機能が標準搭載された新規モデルのレーザー溶接システムです。
製品スペック
相談受付時間:平日8:30~17:15
所在地:神奈川県伊勢原市石田200
取り扱い製品名一覧
対応業務:板金機械事業、切削事業、研削盤事業、プレス事業、精密溶接事業
アマダが取り扱う レーザー溶接機の数 |
VZ20シリーズ |
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業界大手の三菱が有するFA製品専門企業
日本の電機業界を牽引する三菱電機は、FA(Factory Automation)事業、つまり工場など生産現場における自動化システムの開発・製造分野にも強みを持っています。
レーザー加工機のみならず、シーケンサ、低圧遮断器、ロボット製品など実に幅広いFA製品を取り扱っています。
レーザー加工機は本体だけでなく、発信機や制御装置まで一貫して自社開発しており、その高い技術力で様々な加工機を製造販売しています。
VZ20シリーズ
溶接加工だけでなく、切断加工にも用途拡大が可能な三次元レーザー加工機です。加工速度が早く効率的に作業できるだけでなく、セルフチェック機能やカルテ機能などを活用すれば長期稼働も可能です。
相談受付時間:年中無休
所在地:東京都千代田区丸の内二丁目7-3
取り扱い製品名一覧
対応業務:各種製品の開発・販売、修理、アフターサービス。トレーニングスクールなど
CO2レーザーはレーザー加工機に採用されているシステムとして一般的なものであり、二酸化炭素(CO2)を用いて誘導放出されるものです。また、「炭酸ガスレーザー」と呼ばれることもあります。
CO2レーザーでは、放電などによって二酸化炭素へエネルギーを与えて励起させることで、レーザーとして出力できる状態を発生させます。肉眼では見えず、波長が長いので光ファイバーによる伝送にも適さず、ミラーや特殊レンズで集光させる点が特徴です。
YAGレーザーは、イットリウム(Yttrium)とアルミニウム(Aluminum)、ガーネット(Garnet)を主成分とし、さらにレアアースを添加した結晶体をレーザー発生の媒体に活用しています。そのため、結晶の主成分となる3種の素材の頭文字を取って「YAGレーザー」と呼ばれます。
CO2レーザー同様に肉眼で見えないものの、光ファイバーを利用できるため、状況に合わせて光ファイバー伝送とミラー伝送を使い分けられます。
光ファイバーの内部に添加された希土類元素の作用によって、光ファイバーそのものがレーザー発振器としての媒体構造を持つレーザーです。
YAGレーザー同様にファイバー伝送が可能な上、出力できる上限も20kW程度までと幅が広くなっており、ある程度の出力を維持しつつも省スペース化を図りたいような場合に採用されます。
YAGレーザーと同様に、固体を発振媒体とするレーザーですが、YAGレーザーが円柱状のYAG結晶を用いるのに対して、ディスクレーザーは薄い円盤状の固体によってレーザーを発振させることが特徴です。
ディスクレーザー発振器は出力の幅が数Wから数kWまで幅が広く、様々な用途に使い分けられるレーザー加工機を実現することができます。
半導体レーザーは、発振媒体に半導体(レーザーダイオード:LD)が採用されているレーザーシステムです。半導体にはガリウムとヒ素に加えて、アルミニウムを組み合わせた「AlGaAs」や、インジウムを組み合わせた「InGaAs」といった3元混晶の他にも、インジウムとリンを組み合わせて4元素とした「InGaAsP」のような4元混晶があります。
半導体レーザーは小型でコストを抑えやすいことが特徴です。
レーザー加工やレーザー溶接では、対象となる部位へ集中的に熱エネルギーを照射するため、周囲への熱影響を抑えやすく、熱ひずみを小さくできることがメリットです。また、レーザーの照射を高速かつ断続的に繰り返す「パルス発振」を採用すれば、レーザーの熱による溶融と、対象の凝固が繰り返されるため、熱が集中して悪影響を生じさせるリスクを一層に低減させられます。
レーザー溶接では熱ひずみが生じにくいため、加工後にひずみを除去する加工を削減できることがメリットです。また、レーザー溶接は対象素材を使った母材溶接がメインとなるので、従来の溶接加工のように肉盛り部分を研磨して除去するといった工程を削減できることも重要です。
レーザーの種類と出力を最適化することで溶接焼けも防げるので、さらに工数削減を期待できます。
レーザー加工機はあらかじめ作成しておいたデータにもとづいて稼働し、溶接やその他の加工を実行します。そのため、最初にきちんとデータを作成し、レーザーの出力条件を調整しておけば、あとは自動的に加工作業を進められることがメリットです。また、品質の均一性を担保しやすいことも重要です。
加えて、通常の人力では困難とされる精密な作業もレーザー加工機であれば叶えられるため、作業の幅を広げられることも見逃せません。
電気を使うアーク溶接やガスを使うガス溶接では、加熱時にエネルギーが散乱しやすいという特徴があります。一方、レーザー溶接では熱エネルギーを集中させやすく、溶接パワーの密度を高めやすい点が特徴です。
この高密度エネルギーを利用して、融点が高い素材を溶接したり、異なる特性を持つ素材同士を溶接したりといったことが可能になります。
レーザー溶接は任意の部分へ集中的にレーザーを照射してエネルギー密度を高めているからこそ、素材同士に隙間や高低差などがあると十分な溶接加工を行うことができません。そのため、素材のセッティングをきちんとしつつ、事前にレーザーの焦点がずれないように調整することが大切です。
どうしても隙間のある素材を溶接しなければならない場合、レーザー加工とアーク溶接を組み合わせるといった方法があります。
レーザーは光であり、光ファイバーだけでなくミラーや特殊レンズなどによって誘導・照射します。言い換えれば、CO2レーザーやYAGレーザーのように反射率の高いレーザーと、鏡面仕上げされている素材や鏡、ガラスのように反射性の高い素材が組み合わされれば、レーザーが反射して周辺を傷つけるリスクがあるでしょう。
また、特定の物質や元素を含む素材にはレーザーを照射できないなど、安全管理や条件をしっかりと確認しなければなりません。
レーザー溶接は高出力レーザーによる多様な素材への加工ができる上、CAD/CAMといったソフトと組み合わせて自動化や精密加工へ活用できるため、大サイズの部品製造から電子部品の大量生産まで、多分野・多業種の工程に採用されています。
自動車の部品や電子機器の部品、精密機械の部品、さらには人間の手作業で困難な部位への溶接など、目的に応じて使い分けられることが特徴です。
融接技術は、レーザー溶接やアーク溶接を含む、材料を直接溶かして接合する先進的な方法です。この技術は、航空機部品や自動車シャーシのような、高い強度と精度が求められる製品に適しています。特に、レーザー溶接はその精度と速度で、繊細な電子部品の組立てにも利用されています。融接技術の進化により、より複雑で高品質な製品の製造が可能になりました。
レーザー溶接は、精密さ、速度、そして熱影響範囲の小ささが特徴で、複雑な形状や極細部品の製造に特に有効です。また、非接触での作業が可能なため、材料への負荷が少なく、高品質な製品の製造に貢献しています。レーザー技術の進歩は、製造業におけるイノベーションの推進力となり、新しい産業の発展につながります。
圧接は、物理的な圧力を用いて材料を結合する技術です。摩擦圧接やガス圧接が代表例で、大量生産が必要な産業分野での使用に適しています。金属同士を高い圧力で接合することで、溶接に比べて熱影響が少なく、材料の変質を抑えることができる利点があります。さらに、環境への影響が少ないため、持続可能な製造プロセスへの適用が期待されています。
ろう接は、ろう材を用いて低温で部材を接合する技術です。母材を溶かさないため、電子機器の基板など熱に敏感な部品の製造に最適です。また、異種金属の接合にも適しており、電気・電子部品の接続に広く用いられています。この技術は、精密機械や宇宙産業における部品製造にも応用されており、適用範囲は日々広がっています。
レーザー溶接は、レーザーが照射されている素材の熔解部の状態によって、「熱伝導型レーザー溶接」と「キーホール型レーザー溶接」の2つに大別されます。ここからは、それぞれのレーザー溶接の違いや特徴を解説しています。
熱伝導型レーザー溶接とは、後述する「キーホール」が発生しないレーザー溶接です。レーザー溶接の跡が線のように見える「シーム溶接」において使われることの多いことも特徴です。
熱伝導型レーザー溶接では、レーザーが素材表面に照射され、そこから素材の深部へ熱が伝導していくことで溶接が行われます。出力の低いレーザー溶接機で使われている場合が多く、熱伝導型レーザー溶接ではスパッタが発生しない点が特徴です。ただし、スパッタは発生しないものの、熱伝導型レーザー溶接で溶接強度を高めるには高出力のレーザーが必要ということも無視できません。
キーホール型レーザー溶接とは、文字通りレーザー溶接の際に「キーホール」が発生する溶接です。
キーホールとは、レーザーの照射部と溶けている素材の間、溶接部の中心に発生している空洞を指します。キーホールが発生することでレーザーのエネルギーが素材の深部にまで到達し、溶接強度が高まります。スポット溶接は基本的にキーホール型レーザー溶接です。
なお、キーホール型レーザー溶接ではスパッタが発生しやすいこともイントです。
レーザー溶接で理想通りの外観や溶接強度を得ようとした場合、素材に対応させた発振方式やレーザー出力といったパラメータの設定が重要となります。また、溶接のパラメータの内容によって溶接速度も変化するため、作業工程全体の工数や納期などにも直結していく点が重要です。
当然ながら、溶込みが浅くなればレーザー溶接の速度は上昇し、深い部分まで溶け込みを生じさせると全体の速度が低下します。
深い溶け込みで溶接速度を上げたい場合、レーザーの出力を高めなければなりません。
スポット溶接は、溶接部分が点状になる溶接です。スポット溶接のパラメータを調整する場合、出力(ピークパワー)とパルス幅(照射時間)が特に重要なポイントです。
レーザー出力は溶込みの深さ(強度)に直結し、パルス幅は溶接されたスポットごとの幅(溶接幅)に影響します。強度を高めるには出力を高め、溶接幅を広げたければパルス幅を延ばします。
シーム溶接では、溶接部分が全てつながっており線状の溶接跡が生じる溶接加工です。レーザー出力を高めることで溶込みの深さが深まることはスポット溶接と同様ですが、シーム溶接の場合はレーザーの移動速度(走査速度)も重要となります。
溶け込み深度を深めようとすれば、レーザーの出力を高めるか走査速度を遅くすることになります。
レーザー溶接のパラメータ設定に不備があれば、十分な溶接強度を得られなかったり、適切な溶接幅や溶接距離を得られなかったりという、溶接欠陥の発生リスクの上昇を避けられません。
特にレーザー溶接では「ポロシティ」と呼ばれる空孔が発生しやすく、大型の空孔はキーホール内に発生した気泡がそのまま凝固してしまったものです。また、小型の空孔は素材から発生した気体成分が原因になっていることもあります。
その他、溶接速度に不備があれば「アンダーカット」という凹みが生じることもあります。
UV、グリーン、1μmの3波長を自動切り替え、パルス幅は340fsから10psまで可変。各種材料に合ったレーザー光の選択&適した非熱加工が行えます。
20KWの高出力で20,000㎜/minを超える高速切断が可能、プラズマを上回る切断速度を実現。40㎜までの厚板切断に対応しています。
木材・アクリルはもちろん、紙、樹脂、革まで幅広い対象物に刻印・切断が可能。つまようじほどの細かな対象物にも微細な処理を施すことができます。