エンドポンプ

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エンドポンプ方式は、固体レーザーの励起方法として広く採用されている技術で、高品質なレーザービームを得られることから、精密加工・計測・医療機器などの分野で重要な役割を果たしています。レーザー媒質の軸方向から励起光を入力することで、光変換効率が高く、ビーム品質にも優れる点が特徴です。ここでは、エンドポンプの基本原理や特長、サイドポンプ方式との違いについて詳しく解説します。

エンドポンプの特徴

エンドポンプとは、レーザー結晶の「端面」からポンプ光(励起光)を照射する励起方式のことです。ポンプ光を発振光軸に沿って入射するため、レーザー光が通る領域(モードボリューム)とポンプ光が励起する領域が重なりやすく、エネルギーの無駄が少ないのが特徴です。

この方式では、結晶内部の励起分布が均一になりやすく、熱の発生領域も限られるため、レーザーの品質を大幅に向上させることができます。サイドポンプ方式(結晶側面から励起光を照射する方法)と比較すると、光変換効率が2〜3倍高いとされ、より少ない励起光で高出力が得られます。

エンドポンプ方式のメリット

  • 高い光変換効率
    モードボリュームの一致により励起エネルギーを無駄なく吸収。
  • 優れたビーム品質(TEM00モードを得やすい)
    基本モードでの発振が安定し、集光性に優れたビームを得られる。
  • 熱レンズ効果が小さい
    発熱領域が局所的で、熱ひずみによる光学歪みが起こりにくい。
  • 小型・高効率化に適している
    励起光源の配置がシンプルで、レーザー装置の小型化に貢献。

これらの理由から、エンドポンプ方式は精密用途のレーザー、医療用レーザー、計測用レーザーなどで広く採用されています。

ポンプ光強度による設定の違い

エンドポンプ方式では、ポンプ光の強度によって「集光径(スポットサイズ)」の設定が変わります。これは、ビーム品質の確保や熱ひずみの抑制を目的としています。

  • ポンプ光強度が小さい場合
    ポンプ光の集光径はレーザー光よりわずかに小さめに設定します。これは、TEM00モード(ガウシアンビーム)を得るためです。基本モードの安定化により、ビーム品質・集光性が最大化されます。
  • ポンプ光強度が大きい場合(10W以上)
    集光径はレーザー光と同程度、またはやや大きめに設定します。目的は、熱ひずみ(熱レンズ効果)を緩和することです。大きめの励起領域を設定することで熱が分散し、ビームの歪みを防ぎます。

サイドポンプ方式との比較

エンドポンプ方式とサイドポンプ方式は、励起光をレーザー結晶にどの方向から照射するかが異なります。

  • エンドポンプ方式
    ・端面から照射
    ・高効率/高ビーム品質
    ・熱ひずみが少ない
    ・精密用途に適する
  • サイドポンプ方式
    ・側面から照射
    ・大出力の確保が容易
    ・励起領域が広く、効率はやや低い
    ・産業用ハイパワーレーザーに多く用いられる

用途に応じて使い分けられますが、ビーム品質を重視する場合にはエンドポンプ方式が選ばれることが一般的です。

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