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コンプレッサー

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レーザー加工には、作業品質を安定させたり加工効率を高めたりするための「アシスト機器」が数多く存在します。これらの機器は、単にオプションという位置付けではなく、安定した生産や製品不良の削減、安全性の確保において重要な役割を担っています。その中でも、レーザー加工現場で頻繁に使用されるのが「コンプレッサー」です。

コンプレッサーは、切断・穴あけ・マーキングなどの加工時に、加工部にエアーを吹き付けて切りくずを排出したり、レンズや保護ガラスへのスパッタ付着を防いだりと、目立たないながらも非常に重要な役割を果たします。コンプレッサーの性能やエアー品質が十分でないと、切断面が荒れたり、レンズの汚れによる出力低下、ひいては装置のトラブルや寿命の低下につながることもあります。

ここでは、レーザー加工と相性の良い「コンプレッサー」について、その基本的な役割から種類、選定時のポイントまで、初めて導入を検討される方にも分かりやすいように解説します。

コンプレッサーとは

コンプレッサーは、「空気圧縮機」とも呼ばれる機械で、周囲の空気を吸い込み、それを高い圧力に圧縮して送り出す装置です。圧縮された空気はエアー工具やシリンダーなどの空気圧機器の動力源として利用されたり、レーザー加工機の加工部に吹き付けるアシストエアーとして利用されたりします。

レーザー加工においては、コンプレッサーから供給されるエアーをノズルから噴射し、以下のような目的で使用します。

  • 切断部の溶融金属や切りくずを吹き飛ばし、きれいな切断面を得る
  • レンズや保護ガラスにスパッタや粉じんが付着するのを防ぎ、光学部品の寿命を延ばす
  • 加工部まわりの温度上昇を抑え、熱による変形や焦げを軽減する
  • 加工時に発生する煙や粉じんを除去し、視認性と作業環境を改善する

このように、コンプレッサーはレーザー加工の「仕上がり」と「設備保護」の両方に関わるため、装置本体とあわせて検討すべき重要な周辺機器のひとつといえます。

加工用途によって求められる圧力や空気量(吐出量)、エアーの品質(油分・水分・微粒子の少なさ)が異なるため、コンプレッサーと一口にいってもその種類や仕様はさまざまです。必要以上に大きすぎるコンプレッサーを選ぶと導入コストや電力消費が増えてしまい、逆に小さすぎると加工中にエアーが不足して機械が止まるなどの不具合につながります。

レーザー加工におけるコンプレッサーの役割

レーザー加工機でコンプレッサーを利用するケースは、大きく以下のように整理できます。

  • アシストガスとしてのエアー供給
    板金の切断などでは、アシストガスとして窒素や酸素を使用する場合もありますが、薄板や樹脂・木材など一部の用途では「圧縮空気(エアー)」を使うことがあります。コンプレッサーから供給される安定したエアーが、切断品質と加工速度を左右します。
  • 加工部のクリーニング
    加工中に発生するスラグや粉じんを吹き飛ばし、レーザー光が材料にしっかり届く状態を維持します。適切なエアー圧と流量を確保することで、切断面のダレやバリを抑えることができます。
  • 光学部品の保護
    レンズや保護ガラスに対してエアーブローを行うことで、スパッタの付着や汚れの蓄積を軽減します。これにより、光学部品の清掃頻度を減らし、交換サイクルを延ばすことができます。
  • 設備内の環境維持
    ケース内の粉じんを飛ばしたり、局所的な温度上昇を抑えたりすることで、装置内部の環境を安定させます。結果として、不意のトラブル防止や加工再現性の向上につながります。

このような役割を踏まえると、コンプレッサーは単なる「空気を送る機械」ではなく、レーザー加工機のパフォーマンスを支える重要なインフラ設備だと言えます。

コンプレッサーの種類

コンプレッサーは大きく「ターボ型」と「容積型」に分類されますが、それぞれの中でさらに方式が分かれており、用途や必要圧力に応じて最適な機種を選定する必要があります。

ターボ型コンプレッサーは、高速で回転する羽根車(インペラー)によって空気に遠心力を与え、連続的に圧縮するタイプです。さらに以下の2つに分かれます。

  • 軸流式:空気が羽根車に沿って軸方向に流れながら圧縮される方式で、大流量・中圧の用途に適しています。大規模な工場やプラントなどで使用されることが多く、安定した大量供給が必要な場合に選ばれます。
  • 遠心式:インペラーの回転により空気を外周方向に吹き飛ばして圧縮する方式で、中〜高圧域にも対応可能です。高効率で連続運転に適しており、大規模なエアー供給源として使われます。

容積型コンプレッサーは、シリンダーやローターの内部で空間の容積を変化させることで空気を圧縮するタイプです。ターボ型に比べて、小型〜中型の設備に広く使用されており、レーザー加工現場でも一般的です。容積型はさらに以下に分類されます。

  • 往復式:ピストンがシリンダー内を往復運動することで空気を圧縮する方式です。高い圧力を得やすい一方で、振動や騒音が大きくなりやすく、メンテナンスも比較的多く必要になります。スポット的な高圧が必要な場合に用いられます。
  • 回転式:スクリュー、ベーン、スクロールなど、回転運動によって容積変化を生み出す方式です。連続運転に向いており、比較的静音で省スペースなため、工場内のエアー源として幅広く採用されています。

このほか、圧縮段数(1段圧縮・多段圧縮)、潤滑方式(オイル式・オイルフリー)、冷却方式(水冷・空冷)、制御方式(定速制御・インバータ制御)など、さまざまなバリエーションが存在します。加工用途や必要なエアーの性質に合わせて、最適な構成を選定することが重要です。

レーザー加工時には、基本的にオイルフリータイプのコンプレッサーを使用します。これは、エアーに混入したオイルミストがレンズや加工面に付着すると、焦げ・ヨゴレ・出力低下の原因になるためです。オイルフリーモデルに加え、エアードライヤーやフィルターを組み合わせて、水分や微粒子を除去し、クリーンなエアーを供給することが望まれます。

コンプレッサー選定時のポイント

レーザー加工機用のコンプレッサーを選ぶ際は、カタログの「圧力」「吐出量」だけでなく、以下のようなポイントも合わせて確認することをおすすめします。

  • 必要圧力と必要吐出量
    加工機メーカーが指定する必要圧力(Mpa)やエアー量(L/min)を満たすかどうかが第一条件です。将来的な設備増設や同時使用台数も見越して、少し余裕のある能力を選ぶと安心です。
  • エアー品質(オイル・水分・粉じん)
    レーザー加工では、エアーの汚れが加工品質に直結します。オイルフリー機の採用に加え、ドライヤーやフィルターユニットを組み合わせることで、クリーンなアシストエアーを確保できます。
  • 運転音・設置スペース
    コンプレッサーは連続運転することが多いため、騒音レベルや設置場所も重要です。工場内のレイアウトや作業者の負担を考慮して、防音仕様やコンパクトタイプを選ぶケースも増えています。
  • ランニングコスト・メンテナンス性
    消費電力や定期点検・消耗品交換の頻度は、長期的なコストに大きく影響します。インバータ制御で省エネ性に優れた機種や、メンテナンスしやすい構造の機種を選ぶことで、トータルコストの削減が期待できます。
  • 将来の拡張性
    現在は小規模生産であっても、将来的な設備増強や複数台導入を見据えておくと、入れ替えの頻度を減らせます。レシーバータンクや追加ドライヤーなど、あとから増設しやすい構成かどうかもチェックポイントです。

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