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LiDAR(ライダー)

このページでは、レーザーを活用した距離測定や形状検知などを行えるシステム「LiDAR(ライダー)」について、その特徴や歴史、LiDARが活用されている現場などを詳しく解説しています。レーザー加工やレーザー技術の基礎知識として参考にしてください。

LiDAR(ライダー)とは

LiDAR(ライダー)とは「Light Detection And Ranging:光による検知と測距」の頭文字を取った略称であり、具体的にはレーザー光を使って対象物との距離やその形状、サイズなどを検知するための技術です。

例えば、自動車の自動運転技術を開発する上で、レーザーによって前方の障害物を検知したり、障害物までの距離を測定したりといったシステムは不可欠であり、そのような場合にLiDARが採用されています。

LiDAR(ライダー)の歴史

LiDARは1960年代初頭に開発され、そもそも気象学の分野において、大気中に照射したレーザー光の状態を分析することで、大気の組成などを検出するための技術として活用されていました。しかし、対象物へレーザー光を照射して、その反射率や散乱光などを分析して検知する技術は、現在は距離測定や形状分析、サイズ検知といった目的で活用されており、自動運転やレーザー分析など様々な分野で活用されています。

LiDAR(ライダー)を構成する要素

レーザー

レーザー光を使って様々な検知・検出を行うLiDARだからこそ、構成要素にはまずレーザーが挙げられます。

LiDARに採用されるレーザーには条件ごとに色々なタイプがありますが、一般的に用いられるものとしては波長600~800nmのレーザーがあるでしょう。

また、航空機搭載型LiDARには1064nmのレーザーが、海底探査システムのように水中で活用される場合には水中透過性に優れた532nmのレーザーが適していることもあります。

スキャナ・光学系

LiDARに搭載されているスキャナ・光学系のシステムとして、平面鏡2枚を振動させるものや多角形の鏡を採用したもの、スキャナが2軸で構築されているものなどがあります。

光学系部品の構造や機能は、レーザー光を照射できる角度や方向、光を検出できる距離の限界値などに影響するため、目的に合わせたスキャナ・光学系を選定しなければなりません。

受光器・電子機器

受け取った光を検知するためには、適切な感度を有する受光器・電子機器も不可欠です。

受光器には色々な物質が活用され、ピンフォトダイオードやアンバランシェフォトダイオードなどが一般的です。また、波長に応じて光電子増倍管が採用されることもあるでしょう。

受光器の感度は他のスキャナ・光学系やレーザーなどの性能とバランスを取るようにしてください。

ポジショニング・ナビゲーション

常に移動しているものにLiDARを搭載する場合、対象物との距離や位置関係なども常時変動しているため、何よりもまず絶対的な位置や方向を定めるための指針(ポジショニング・ナビゲーション)が必要です。

具体的には、GPSや慣性誘導装置がポジショニング・ナビゲーションとして活用されています。

LiDAR(ライダー)の用途

地形調査

LiDARは地形調査においてとても効果的なシステムであり、航空機搭載型LiDARとGPSなどを組み合わせることで、広範囲の地形調査も効率的に行えるようになりました。

また、LiDARでは地上の地形について形状や距離などを調査できるだけでなく、水中透過性に優れたレーザーと海底探査システムなどを組み合わせることで、海中・海底の地形について調査できることも特徴です。

LiDARには利用しやすいハンディタイプもあり、目的に合わせて性能やレベルを選択できます。

自動運転技術

自動運転技術は、現代のLiDARの活用目的として一般的です。

例えば自動車の車体からレーザーを照射して、前方にある障害物までの距離を検出し、距離が近づけばハンドルを切っての危険回避や緊急ブレーキといった動作へつなげることも可能です。また、前方だけでなく広範囲・広角のレーザー照射を可能にしたLiDARを採用しておけば、走行時だけでなく車庫入れや渋滞中などの低速走行時にも安定した自動運転システムを維持することもできます。

宇宙産業での活用

LiDARを活用している分野の1つとして、宇宙産業や宇宙船の飛行制御などが挙げられます。

例えばロケットや宇宙船は地球の重力と航行速度とのバランスを保つことが重要になっていますが、LiDARを活用することで宇宙船の相対速度を測距したり軌道要素の計算を行ったりといったことが可能です。

また、宇宙船から放射されたレーザー光を望遠鏡が受け取ることで、大気中の状態を検出することもできます。

AR(拡張現実)

LiDARはいかにも科学分野や産業分野、研究分野などにおいて活用されてきた技術ですが、2020年3月にiPad Proへ搭載されて一般ユーザーとLiDARとの距離が一気に縮まりました。

例えばスマホアプリとして「AR(拡張現実)」を楽しめるものもありますが、LiDARの技術を使って周辺の物体との距離や位置関係を検出することで、画面上の適正な場所にヴァーチャルのアバターを設置できるなど、楽しみ方や活用法の幅が広がっています。

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