レーザー加工機を使って対象物をカッティングする原理や、対象物の素材別に適したレーザーの種類、さらにレーザー加工機を取り扱うメーカーをまとめて紹介します。
レーザーカッティングでは、レーザー発振器から出る強力な光で金属などの対象物を融解、つまり溶かすことによって切断します。
レーザー発信機には、一定量のレーザー光を継続的に照射するCW方式と、最大量のエネルギーで光を断続的に照射するパルス方式の2種類があり、それぞれ切断速度や加工品質に違いがあります。
また、レーザーカッティングでは光の照射と同時にアシストガスを噴射します。このガスには対象物の融解や燃焼を促進する働きや、レーザー光によってカットした部分の金属を切断溝から取り除く働きがあります。
レーザー加工機でできる
「刻印(マーキング)」について詳しく見る
ファイバーレーザーの大きな特徴は加工速度の速さ。薄板切断にかかる速度はCO2レーザーの約1/5程度と言われています。
加えて、ファイバーレーザーは従来のCO2レーザーに比べて電気代やガス代、水道代などの維持費がかからない点も特徴です。
比較的新しい技術であるファイバーレーザーは、従来のCO2レーザーに比べて導入にかかる初期費用が約1.5倍かかる点がデメリットです。
また、加工速度が速すぎる故に、加工版の取り替えに注意が必要になる点も欠点として挙げられます。
CO2レーザーは従来の加工方式で、鉄製品の加工品質が高い点が大きな特徴です。
また、ファイバーレーザーと異なり、CO2レーザーはガラスやアクリル、木材など非金属系の対象物でも綺麗にカットできる点もメリットと言えます。
アルミや銅などのレーザー反射率が高い金属のカッティング品質は、ファイバーレーザーに劣ります。
また、CO2レーザーの加工速度はファイバーレーザーに比べて遅いため、金属系の対象物を効率よく切断加工したいケースには不向きと言えます。
光響が取り扱う レーザー切断機の数 |
マーカー機能付き100wファイバーレーザー加工機(自社開発製品)のほか300社の製品 |
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博士やMBAの資格所有が在籍する「光の専門家集団」
株式会社光響は、2009年に京都市で設立した光学関連製品メーカーです。代表取締役をはじめとして、博士(光学)やMBAなどの資格保有者が多数在籍しており、取り扱う光学製品はレーザーマーカーから溶接機、クリーナーまで多岐にわたります。
切断に使えるレーザー加工機としては、1.5KWファイバーレーザーを搭載した切断機を取り扱っています。光響のレーザー切断機にはリニアモーターが搭載されているため、加速性能と等速安定性を活かした高精度な切断が可能です。
高精度ファイバーレーザー切断機
最大出力1500Wの強力なファイバーレーザーを搭載しており、真鍮や銅など反射率の高い金属を切断できる加工機です。リニアモーターを採用しており。加速性能と等速安定性に長けている点が特徴です。
相談受付時間:平日9:00~18:00
所在地:京都府京都市伏見区竹田西段川原町131番
取り扱い製品名一覧
対応業務:Laser as a Service (LaaS:ラース)、LiDAR、レーザー製品サブスクリプションサービス、光学製品レンタルサービス、中古・新古品の販売など、転職サポート(職業紹介、人材紹介)など
アマダが取り扱うレーザー切断機の数 | 8種 |
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国内外問わず幅広いネットワークを持つグローバルメーカー
株式会社アマダは、日本国内では北は盛岡、南は鹿児島まで営業拠点を構え、海外にも非常に多くの販路を持つグローバルな金属加工機械メーカーです。
レーザー機のような加工機械の他に、それらのマシンを制御するためのソフトウェア等の周辺技術や、設備導入後のメンテナンスまで包括的にサービスを展開しています。
子会社と関連会社を合わせたグループの全体規模は91社にのぼり、幅広いネットワークを活かして事業を展開しています。
ENSIS3015AJ
アマダ自社性のファイバーレーザーを搭載したレーザー切断機です。独自開発したビームコントロール技術によって、薄板から厚板まで切断可能です。
相談受付時間:平日8:30~17:15
所在地:(本社)神奈川県伊勢原市石田200
取り扱い製品名一覧
対応業務:板金機械事業、切削事業、研削盤事業、プレス事業、精密溶接事業
コマックスが取り扱うレーザー切断機の数 | 4種 |
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株式会社コマックスは、平成3年に静岡県浜松市で設立した機械メーカーです。主な業務内容は業務用レーザー加工機の製造で、他にも宝石剣巻きや鉱石切断機などの製造も行なっています。
レーザー加工機の製造に関しては、特注による受託加工も実施しており、レーザー加工に適した素材の輸入販売にも対応しています。
問い合わせの際には、レーザー加工機を搭載した特製デモカーによるお客様訪問、展示も実施しています。
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CO2レーザー発振器を搭載した切断機です。新品購入時に、光学部品保護システム、耐炎ガラスウィンドウ、過燃焼警報機、超純粋自動噴射装置が標準装備されているため、安全対策も整っています。
相談受付時間:平日9:00~18:00
所在地:静岡県浜松市南区若林町307-1
取り扱い製品名一覧
対応業務:各種工作機械、各業種向けのレーザー加工機、レーザーマーカー、宝石研磨機、鉱石切断機、集塵脱臭機、加工素材の製造・開発・輸入・販売・修理・メンテナンス、レーザー用加工素材の輸入販売、レーザーの受注加工
レーザー加工機によるカットや切断は、物理的な圧力やカッターなどで切断する場合よりも切断面がなめらかになり、割れやすい素材でも切断することが特徴です。また、切断面の角度も均一に保てるため、切断加工を美しく仕上げたい場合はレーザー加工が適しているといえるでしょう。
ただし、レーザー加工(切断)の切断面や仕上がりを美しくするには、まずレーザーカット加工へ適している素材を選ぶことも必要です。
レーザーによるカッティング加工では、あらかじめ目的の形状やデザインを専用ソフトによって自由に作成しておき、そのデジタルデータをレーザー加工機へ入力することで実行されます。そのため、複雑なデザインでも自動的に量産できる上、レーザー加工機の性能次第では人間の手作業で再現困難な精密加工も実現できる可能性があります。
また、レーザー加工との適性さえ合わせられれば、素材の硬度や特性による加工難易度を調整しやすいこともメリットです。
レーザー加工は素材とレーザー加工機によって行える作業であり、あらかじめ金型などを製作しておく必要がありません。そのため、すでにレーザー加工用のデジタルデータさえ存在していれば、すぐに素材への加工を進められることが魅力です。
準備作業の手間を減らして、効率的なサンプル製作や製造工程を構築できることが強みです。
金型を含めて、レーザー加工では必要な準備品がとても少なくなっています。また、例えばプラスチックへデザインを印刷したい場合でも、レーザーマーキング加工を利用すればインクが不要なので消耗品コストも発生しません。
削りカスや切りくずなどが発生しないので加工機の清掃やメンテナンスも簡単になっており、切りくずが詰まって機械が故障するといったリスクも抑えられます。
レーザー加工は対象素材へレーザーを当てて、その熱で目的の部位に任意の加工を施すシステムです。そのため、どうしても素材の熱伝導性や耐熱性といった性質に作業時間が左右されやすく、プレス加工や切削加工といった加工方法と比較すると作業が遅くなります。
そのため、目的の素材を切断したい場合、レーザーが適しているのか、他の加工法が適しているのか、事前に比較検討することが大切です。
レーザー加工機の特性として、加工用のレーザーは1本の光線だけで構成されるのでなく、目的の部分へ複数のレーザーを一点集中させて、エネルギー密度を加工に必要なレベルまで高められていることが挙げられます。
そのため、レーザー加工では適切な焦点距離を確保しなければならず、分厚い素材では加工部位が深くなるほど焦点距離が狂ってエネルギー密度が低下してしまいます。
また、極端に反射率の高い素材の場合、旧式のレーザー加工機では作業できないことも要注意です。
レーザーカット加工が可能な素材には金属やプラスチック、アクリル樹脂、木材など様々な種類があり、それぞれに適しているレーザー加工の種類やレーザー加工機の特性などが異なります。
また、素材としてはレーザーカット加工できるものであったとしても、素材の厚みや色、表面処理の状態によって加工が適さない場合もあるでしょう。加えて、素材によってはCO2レーザーのレーザーカット加工が可能でも、ファイバーレーザーによるレーザーカット加工が難しいというケースもあります。
レーザーによるカット・切断・穴開けといった加工は様々な素材へ利用できる一方、事前に目的の素材との適性や条件をしっかりとチェックしておくことが不可欠です。
レーザーカット加工を含めて、そもそもレーザー加工が適していない素材もあります。
代表的な例として、塩素やフッ素を含有している材料の加工にレーザーは適していません。そのような素材へレーザーを照射すると、人体や機械へ有毒なガスが発生して作業員や作業環境へダメージを与える可能性があります。
また、石やガラスのように彫刻はできてもカットは困難であったり、複数の紙素材を重ねてレーザーカットすると発火リスクが生じたりといった問題もあります。
その他にも、鏡のように光を反射する製品はレーザー加工が難しく、どうしても鏡へレーザー加工を施したい場合は裏面からレーザーを当てるなどの工夫が必要です。レーザー加工が可能かどうかはそれぞれの業者が導入している設備によっても変わるため、事前にきちんと比較検討することが大切です。
建築業界や機械工業の分野において利用される鋼鉄製の素材については、レーザーカット加工が比較的多く利用されています。
鋼材をレーザーカット加工する場合、レーザーの光を収束させる焦点距離と加工部位とを適切に合わせることが必要になり、そのために素材の厚みに上限があることもポイントです。
また鋼材のレーザーカット加工を依頼する場合、加工可能な素材の厚みだけでなく、取り扱えるサイズや重量についても合わせて確認しておきましょう。
ステンレスは鉄にニッケルやクロムなどの物質を含有させた合金であり、硬くて錆びにくいといったメリットがあります。
ステンレスはレーザー加工機によってスムーズに切断できる素材です。ただし、酸素を使ったレーザー加工では切断面へ酸化皮膜が発生してしまうため、切断後に研磨などの表面加工による仕上げが必要です。
なお、酸素でなく窒素を使うことで切断面の酸化皮膜を予防する「クリーンカット(N2切断・窒素切断)」といった加工法もあります。
鋼材よりも計量で加工性にも優れているアルミニウムは、一般家庭にある製品から特別な環境にある器具や機械まで幅広いものへ利用されています。そのため、アルミニウムはレーザーカット加工のニーズが高い素材だといえるでしょう。
反面、アルミニウムは表面の反射率が高く、レーザーカット加工では反射対策が施されている加工機を選択することが必要です。
なお、厚板加工をする場合、レーザーカットの跡で「ドロス」と呼ばれる溶融物が残ってしまうデメリットもあります。
合成樹脂の1種であるアクリル樹脂は、耐久性に優れており軽量で加工もしやすいことから、様々な業界や分野で幅広く活用されています。
アクリル樹脂はレーザーカット加工の対象素材としてもしばしば使われており、断面を美しく仕上げられることがメリットです。ただしアクリル樹脂は熱に弱く、変色しやすいといったデメリットもあり、使用する素材の特徴やレーザーの出力、火災対策といった点に気を付けることもポイントです。
プラズマ切断は、レーザーカットによる切断と同様に、素材に対して「熱」を加えることで加工する切断です。
強力な熱エネルギーで素材を溶解・蒸発させて切断するというシステムは、プラズマ切断もレーザーカットも同じであり、さらに局所的にエネルギーを照射するため、熱を利用する他の加工よりもピンポイントで加工できることが特徴です。
ただし、精度の面を比較すればレーザー加工の方が高くなっており、さらにプラズマ切断の方が切断面のドロスを付着させやすいといった違いもあります。
一方、レーザーカットは素材の厚みに制限がかかることも多く、特に厚板を切断したい場合はプラズマ切断の方が適していることもポイントです。
ガス切断は、レーザーカットやプラズマ切断と同様に熱を使って素材を切断する方法ですが、ガスバーナーによって素材へ熱を加えるというシステムの特性上、どうしても切断精度といった面ではレーザーカットやプラズマ切断に劣ります。そのため、1mm未満の精度で切断したい場合、ガス切断は適していません。
また、ガス切断は燃焼リスクについても気を付けねばならず、適応可能な素材が限られていることも重要です。その上、レーザーカットやプラズマ切断と比較すると、ガス切断にかかる時間が最も長くなり、切断面の仕上がりも不均一になりやすいことがデメリットです。
反面、ガス切断のメリットとしては、レーザーカットやプラズマ切断よりも分厚い板を切断できるという点が挙げられます。
タレパン加工は、金型を使ったプレス加工によって素材へ連続して物理的な負荷を加えて、素材を切断する方法です。すでに金型が用意されているという条件で、直線的なラインで素材を切断したいのであれば、レーザー加工よりもタレパン加工の方が低コストかつ短時間で作業できることはポイントです。
一方、複雑な形状の切断を必要とする場合、タレパン加工では完全に再現できない可能性があり、レーザー加工の方を選択すべきとなるでしょう。
また、タレパン加工の特性として、タレパン加工機の内部で金型を入れ替えて加工内容を変更できることも挙げられます。これにより、一度のプログラミングによって切り抜きから穴あけまでまとめて完了できることはメリットです。
現在はレーザーカットとタレパン加工のメリットを同時に得られるよう、レーザータレパン複合機も販売されており、精密デザインのカッティングから穴あけ加工までまとめて実行できることは見逃せません。
ウォータージェット切断は、高圧ポンプによって噴射された極細の水を素材へ当てて、その威力で素材をカットしたり穴を開けたりする方法です。高密度かつ高圧で噴射された水は石や金属といった硬い物質も切断できる力を持っており、様々な素材を対象として切断加工を行えることが重要です。そのため、ウォータージェット切断は建築業界や重工業、造船業、自動車業界など幅広い分野で活用されています。
また、ウォータージェット切断の特性として熱や火を使わないことも重要です。そのため、ウォータージェット切断では火災や焦げといったリスクがなく、素材の変性を抑えやすいといった点がメリットとなります。切断面の仕上がりが美しいこともウォータージェット切断の特徴です。
反面、紙のように水に濡れて困る素材や水に溶ける物質はウォータージェット切断で加工することができません。
ワイヤーカットとは、ワイヤーに電気を流して素材を切断する方法です。
純水を満たした加工槽の中へ素材を入れ、切断させたい部位へワイヤーを近づけて、電気を流すことで素材へ電気エネルギーを与えて放電爆発を起こします。この時、ワイヤーの温度は6千~7千度にも達しており、素材の表面を溶解・蒸発させて任意の形状に切断します。また加工槽には冷却装置が組み込まれており、ワイヤーが熱されても加工液を一定の温度へ保てるため、素材への熱変成を予防できることも特徴です。
ワイヤーと素材は直接に触れ合わず、あくまでも電気と熱の力で切断が行われるので、導電性を有する素材であれば対象へ負荷をかけずに加工することができます。反面、電気を流せない素材はワイヤーカットで加工することができません。
UV、グリーン、1μmの3波長を自動切り替え、パルス幅は340fsから10psまで可変。各種材料に合ったレーザー光の選択&適した非熱加工が行えます。
20KWの高出力で20,000㎜/minを超える高速切断が可能、プラズマを上回る切断速度を実現。40㎜までの厚板切断に対応しています。
木材・アクリルはもちろん、紙、樹脂、革まで幅広い対象物に刻印・切断が可能。つまようじほどの細かな対象物にも微細な処理を施すことができます。