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エキシマレーザー

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エキシマレーザーは、ハロゲンや希ガスの混合ガスを用いた気体レーザーの1種であり、紫外線領域のレーザー光を発生させるシステムです。エキシマレーザーには一般的に4種類の波長があり、波長によってエネルギーを選択的に利用できるうえ、熱が少なく、照射対象への熱ダメージを低減できるといったメリットがあります。

このページでは、医療用レーザー加工機など医療分野でも活用されるエキシマレーザーについてまとめましたので参考にしてください。

エキシマレーザーとは

エキシマレーザーは、英語の「Excited Dimer Laser」を簡略化した呼び名であり、上述したように気体レーザーの1種として多方面で利用されているレーザーです。

媒質としてはハロゲンガスや希ガスが利用され、希ガスとして用いられるガスの構成によってさまざまな発振波長を得られます。エキシマレーザーの波長と媒質の関係には以下のような分類があります。

  • ArF(アルゴン・フッ素):193nm
  • KrF(クリプトン・フッ素):248nm
  • XeCl(キセノン・塩素):308nm
  • XeF(キセノン・フッ素):351nm

これらの波長はすべて紫外線領域のレーザー光であり、レーザーの性質として波長が短くなるほどエネルギーが高まることもポイントです。

エキシマレーザーの長所・短所

エキシマレーザーのメリット

紫外線領域にあるエキシマレーザーは可視光領域よりも波長が短く、エネルギーが高強度であることが特徴です。そのため、エキシマレーザーは照射対象の分子結合を直接に切断し、大きな分子構造を小さな分子構造へ変化させることが可能です。

また、エキシマレーザーは赤外線レーザーやCO2レーザーのように熱を発生しないため、人体にも利用しやすく、医療分野での活用も行われています。

エキシマレーザーのデメリット

エキシマレーザーはコスト面でCO2レーザーなどよりも負担が大きく、ランニングコストが増大しやすい点がデメリットです。

エキシマレーザーの波長

すでに説明したように、エキシマレーザーには主に4種類の波長があり、波長が短くなるほどエネルギーが大きくなり、ワークや人体へ与える影響が強まることもポイントです。

このため、エキシマレーザーは目的や用途に合わせて波長を選択的に使い分けられており、例えばArF(193nm)やKrF(248nm)といった波長のエキシマレーザーは、ガラスや樹脂への微細加工などに用いられます。

なお、紫外線(UV)にはさらに波長ごとの分類があることも重要です。

  • UV-A:380nm~315nm
  • UV-B:315nm~280nm
  • UV-C:280nm~200nm

上記の分類に照らしてみると、UV-AよりもUV-Bの方が人体にとって影響が強く、危険性が高いと想定されます。ただし、医療用のエキシマレーザー(UV-B)では有害性をカットし、高エネルギーかつ安全性を高めたレーザーが利用されます。

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エキシマレーザーの活用例

波長の選択や特性の理解を前提として、エキシマレーザーは工業分野から医療分野までさまざまな場面で活用されていることが強みです。

ここではエキシマレーザーの活用例について、レーザー加工と医療用に分けて解説しますので参考にしてください。

レーザー加工における活用

エキシマレーザーは、赤外線レーザーやCO2レーザーのようにレーザー加工に利用でき、一般的な材料加工用レーザーとしてエキシマレーザーは波長の短いレーザーを発振できることが強みです。これにより、工業分野や産業分野において、特に高精度なレーザー加工を必要とする場面でエキシマレーザーが使われています。

微細加工

文字通り、微細な彫刻やマーキング、極小ラベリング、精密穴あけ加工にエキシマレーザーが利用されています。

熱の発生が小さく、高エネルギーで精密に制御できるエキシマレーザーは、高精細のレーザー加工に適しており、主に使用されるものはArFやKrFです。

薄膜の生成

材料ポリマーに対してエキシマレーザーを照射すると、構造体の分子結合が瞬間的に切断されてプラズマが発生し、対象の表面から分子や原子が爆発的に放出されます。これは「アブレーション」と呼ばれる現象であり、エキシマレーザーを使って任意にアブレーションを発生させ、放出された粒子を目的とする材料の表面へ堆積させることで、任意の分子や原子の薄膜を生成できることが特徴です。

エキシマレーザーを使ったレーザーアブレーション法は、多種多様な材質の薄膜を生成できるだけでなく、元素分析や超微粒子の創成、レーザー核融合といった幅広い目的に応用可能です。

半導体集積回路の製造におけるフォトリソグラフィ工程

フォトリソグラフィは半導体製造における工程の1つであり、シリコンウェーハに光を照射して回路パターンを形成する技術です。

さまざまな電化製品の小型化や軽量化に伴い、半導体や集積回路の製造工程でも微少・微細な加工が必要となっており、より小さな範囲に正確かつ高密度の回路パターンを描くためには、レーザーの精密さが重要です。

そのため、現代の半導体集積回路の製造現場では、フォトリソグラフィ工程においてウェーハを露光させるシステムとしてエキシマレーザーが活用されています。

アニーリング(焼きなまし処理)

アニーリングも半導体製造における工程の1つであり、シリコンウェーハに高速・高密度のイオン注入を行った際、その衝撃でシリコンの結晶構造が崩れて非晶質化したウェーハを、加熱処理して再び安定した結晶構造を得るためのものです。

エキシマレーザーは分子組成へアプローチできるため、レーザーアニーリングにも応用できます。

医療分野における活用

熱を抑えつつ対象に作用できるエキシマレーザーは、人体に照射した際に皮膚などへの熱ダメージを与えにくいため、皮膚科や眼科、血管内治療など医療分野でも利用されています。

皮膚科での活用

エキシマレーザーの医療活用として、皮 膚科における紫外線療法に利用されている点は見逃せません。

皮膚科の紫外線療法として用いられるエキシマレーザーはUV-Bの波長領域が使用されますが、医療用レーザーでは人体に有害となる波長があらかじめカットされており、エキシマレーザーの精密照射というメリットのみを追求できるように設定されています。

皮膚科のエキシマレーザー治療は、従来の治療法では効果が認められない症例や疾病に活用されており、具体的には円形脱毛症や結節性痒疹、汗疱や手足の皮膚剥離症などの難治性皮膚病に使用されています。

眼科での活用

非常に繊細な手技を求められる眼科の治療でもエキシマレーザーが活用されており、例えば視力回復を目的としたレーシック治療がその一例です。

レーシック治療は目の角膜にレーザーを照射して角膜の形状を変化させることで、屈折率を調整し、視界のピントを正しく合わせられるようにする治療法です。

レーシック治療は近視や乱視、遠視、老眼などの目に関するさまざまな状態の改善を目指す治療法であり、2000年に厚生労働省から認可されて以来、日本各地で実施されています。

血管内治療での活用

血管内治療の一環として、「エキシマレーザー冠動脈形成術(ELCA)」と呼ばれる術式があります。これは、閉塞している血管(冠動脈)にレーザーカテーテルを挿入し、カテーテルの先端からエキシマレーザーを閉塞部分に照射して血管を再び開通させる手術です。

エキシマレーザーは熱を発生させず、対象の分子結合を直接に切断できる点がメリットであり、血管などの生体組織に照射しても熱ダメージや熱による変質を引き起こさずに病変組織を治療できます。

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