陶磁器を精密に加工する革新的な技術であるレーザー加工は、従来の手法と比較して、素材を直接触れることなく加工できるため、陶磁器の製造過程において、デザインの自由度を格段に向上させ、製品の品質と生産効率を同時に高めることができます。
陶器は、主原料に陶土を用いて800~1,300℃で焼成したものを指します。粘土が成分の50%近くを占めており、焼きが柔らかく多孔性な材質です。焼き物としては厚みがあり、単色であまり焼き締まりがない傾向にあります。
素焼き段階で釉薬(うわぐすり・ゆうやく)を塗ることで、表面をガラス質に近づけ水分を浸透しにくくしています。陶磁器の中では吸水性が比較的高く、ザラッとした質感が特徴です。日本では信楽焼や美濃焼などが陶器に分類されます。
主原料に陶石を用いており、1,200~1,400℃程度で焼いた焼き物を磁器といいます。石を切り出すのではなく、陶石を砕いて粉末化した石粉を水と混ぜて粘土状にし、器をつくるのが一般的です。また、絵付けをする場合は塗り後に低温で再度焼成します。
工程の違いから陶器と比較すると焼き締まっており、吸水性が非常に低く硬度が高い素材です。成分割合から熱伝導率も高いため、食器で使う場合は熱しやすく冷めやすいのが特徴です。焼き物の中でも九谷焼や有田焼は磁器に分類されます。
従来、焼き物を作成する過程では主に手作業や簡易な機械を用いて陶磁器を形作っていますが、複雑なデザインの作成には限界があり、素材を傷つけるリスクも伴います。
また、作り手によって仕上がりが変わるため、均一な仕上げは難しいのが現状です。
レーザー加工の最大のメリットは、非接触でありながら精密なデザインや文字をマーキングできる点です。この技術により、手作業では難しかった細かい彫刻や複雑な模様も、高速かつ高品質に実現できます。また、大量生産にも対応可能で、製品の品質を損なうことなく効率的に生産できるという利点があります。
一品物とは異なりますが、普段づかいの食器であればレーザー加工による細工をすることで、好みの食器を再現することも可能でしょう。
レーザーマーキングは陶磁器表面に特殊なレーザー光を当て、デザインや文字を永続的に刻む加工方法です。マーキングを施すことで製品に個性を加えたり、ブランドのロゴを入れたりすることが容易になります。レーザーマーキングは摩耗や色あせに強く、長期間にわたって製品の美しさを保持できるのが強みです。
精密な形状で陶磁器を切り出すレーザー切断では高い精度と滑らかな切断面を実現し、従来の方法では難しかった細かなデザインや複雑な形状も製作できます。新たなデザインの可能性を広げ、陶磁器製品の魅力をさらに引き出します。
UV、グリーン、1μmの3波長を自動切り替え、パルス幅は340fsから10psまで可変。各種材料に合ったレーザー光の選択&適した非熱加工が行えます。
20KWの高出力で20,000㎜/minを超える高速切断が可能、プラズマを上回る切断速度を実現。40㎜までの厚板切断に対応しています。
木材・アクリルはもちろん、紙、樹脂、革まで幅広い対象物に刻印・切断が可能。つまようじほどの細かな対象物にも微細な処理を施すことができます。