例えばレーザー切断に適した金属素材にはステンレスや銅、真鍮、アルミニウム、軟鋼などがあり、レーザーの出力や加工機の性能次第で幅広い厚みの金属を切断できます。
その他、マーキングや印字といった表面加工だけで良ければさらに対応可能な金属素材の種類が増え、チタンやプラチナ、金、銀、合金など色々な素材を加工できることが特徴です。
レーザーでは複雑な加工を正確に再現できる上、品質を一定に保てるといったメリットがあります。
鉄は一般的に利用されている金属素材であり、様々な業界で材料や部品として使われています。また、レーザー加工では主に切断加工に適しています。ただし、鉄はそのままで使用すると錆びたり熱変形したりするリスクもあり、レーザー加工機によって切断したい場合、あらかじめ注意すべきポイントを把握しておくことが必要です。
ステンレスが、鉄にクロムやニッケルといった金属を添加して製作した合金であり、通常の鉄材よりも錆びやすく強度に優れているといったメリットがあります。一方、強度が優れているからこそ、レーザー加工機でステンレスを切断したい場合、事前にステンレスの特性やレーザー切断のシステムなどについて知っておかなければなりません。
アルミニウムは1円玉にも使われる身近な金属であり、鉄よりも軽く、展延性や加工性に優れていることが特徴です。ただし、アルミニウムの表面が鏡面加工によって仕上げられている場合など、レーザー加工機によっては使用できない種類があったり、レーザー切断を実現するために調整が必要だったりと、条件的に厳しい可能性もあります。
銅は様々な分野で活用されている金属であり、装飾品から建築資材や工業製品まで幅広い目的に適しています。導電性が高く熱伝導率にも優れており、表面の反射率が高い銅はレーザー加工や溶接加工において難しい素材とされているため、十分に銅の特性を理解してノウハウを有するレーザー加工業者へ依頼することが欠かせません。
真鍮は銅と亜鉛を融合させた合金で、銅と亜鉛の配合比率によって複数の真鍮が存在しており、亜鉛の含有量が多くなるほど素材として硬くなっていくことも特徴です。
真鍮は熱伝導率や伝導性に優れ、黄金色の美しい外見も持つことから様々な用途や目的で利用されている反面、反射率が高くてレーザー加工は難しくなっています。
チタンはレアメタルとして知られる金属であり、加工素材としては高純度の純チタンと、他の金属と融合させたチタン合金が活用されます。
高強度・軽量・優れた耐食性及び生体適合性といった特徴を持つチタンは、様々な分野において利用される金属ですが、同時に高い強度を持つため加工が難しく難削材として分類されることも重要ポイントです。
「L字」に形成された鋼材です。山の形をしているため「山形鋼」と呼ばれることもあります。加工法は機械工・レーザー加工・溶接など様々です。鉄やステンレス、アルミなどの素材を使用しており、架台や建築物などに利用されます。仕上がりに必要な性能・用途から素材と加工方法を選定しましょう。
銀は金やプラチナと並んで美しい金属であり、古来アクセサリーなどに幅広く使われてきました。また熱伝導率や電導率が高く、特に室温での可視光線の反射率は金属元素の中でも最大です。
そのため、鏡のように光を反射する銀はレーザー光に関しても反射しやすく、銀素材をレーザー加工する際には吸収率の高いUVレーザーを使うといった工夫が必要となります。
銀を対象としてレーザー加工をする際の特徴や加工の種類について解説しました。
レーザーの熱によってアクリル樹脂を切断したり、専用ソフトを併用することでアクリル樹脂の表面だけを加工したりといったことが可能です。アクリル板の厚みも最大30mmほどであればレーザー切断できる上、レーザー加工した部分が白濁するため、その性質を利用して透明なアクリル樹脂にイラストやロゴを描くこともできます。
反面、押し出し板のように、熱にあまり強くないアクリル樹脂はレーザーの熱で溶けてしまうため、加工に適しません。
アクリル樹脂と同様に、プラスチック・樹脂素材もレーザー加工機で加工することが可能です。
一般的にほとんどのプラスチック・樹脂をレーザー加工できますが、特に熱へ耐性のない素材はレーザー加工に適しません。また、塩素が入っているプラスチック・樹脂についても、レーザー加工で有害ガスが発生するため加工できません。
プラスチック・樹脂はレーザーによる精密裁断や、熱による変色を利用した描画・印字などに利用されます。
セラミックスは一般的に土や粘土を材料として成形し焼き固めた陶磁器であり、工業的には非金属・無機固体材料の総称です。そのためレーザー加工としてセラミックスを考える場合、陶器や磁器もちろん、ガラスやセメントといった素材について考えることも大切です。
セラミックスは複数のメリットを持つ反面、割れやすく、非接触加工が可能なレーザー加工との相性は高いとされています。セラミックスのレーザー加工についてまとめました。
陶磁器のレーザー加工は、従来の加工方法に比べて非接触で精密な作業が可能で、デザインの自由度を高められるのが魅力です。陶磁器の表面への細かな彫刻や複雑な模様の実現が可能になり、大量生産でも品質を保ちながら効率的に生産できるという利点が得られます。特に、マーキングや切断などの加工が可能で、陶磁器製品の魅力を引き出しやすくなります。
レーザーで加工できる陶磁器とレーザー加工の種類を
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シリコンは(ケイ素:Si)を意味しており、シリコンに銅やアルミニウム、マグネシウムなどの金属元素を混合して製造した金属シリコンは半導体製造など様々な分野で利用されています。また、シリコンは一方で有機ケイ素化合物の材料としても知られており、シリコーン樹脂(シリコーンゴム)といった素材を作るためにも重要です。
シリコン素材の特徴や、シリコン素材に対するレーザー加工の種類や特徴、注意点などについて解説しています。
木材をレーザーによって切断したり、木材の表面にレーザーの熱で模様を描いたりすることが可能です。
木材は種類や事前加工によって厚みや硬さ異なるため、レーザー加工機の出力を調節しながら適切なパワーで照射することがポイントです。
レーザー加工で素材として使われる木材には天然木の他にも、合板やMDF(中密度繊維板・中質繊維板)といった素材が利用されます。また、切断時に削りかすやゴミが発生しない点もメリットです。
ガラスの表面をレーザーによって加工し、微細な絵を彫刻したり複雑なデザインを描いたりすることができます。そのため、食器やインテリア、建築部材など様々な分野でレーザーによるガラス加工が行われています。
一方、レーザーによってガラスを加工する場合、どうしても熱による影響を無視することができません。また、ガラスによって組成が異なるため、レーザーの出力や加工速度を素材の組成や形状、厚みなどに合わせて適切に設定することが必要です。
布や生地は、天然繊維でも合成繊維(化学繊維)でもレーザーによって加工できます。
天然繊維の場合、レーザーの熱で繊維を焼き切ったり、焦がしたりして加工します。合成繊維の場合はレーザーの熱で繊維を溶かして加工することが特徴です。瞬間的に溶けた化学繊維は再び固着するため、合成繊維の方が切断後にほつれが生じにくくなります。
レーザーは布や生地の弾性や伸縮性に影響されないため、精密なデザインも正確に加工できます。
レザー素材をレーザーの熱で裁断したり、表面をレーザーで焼いてデザインを印刷したりすることが可能です。レーザーの熱で焼き切った部分はほつれが生じないため、薄い革製品でも加工することができますが、レーザーを当てた部分が焦げて黒く変色したり、煙が素材表面に付着して汚れたりといったデメリットもあります。
なお、クロムなめし加工のように、特殊加工が施されているレザー素材では有害ガスが発生する可能性もあり、注意が必要です。
レーザーで加工できる革とレーザー加工の種類を
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紙はレーザーで切断したり、表面の繊維を焦がしてデザインを印刷したりといったことに適しています。また、レーザーの出力を見極めることで、紙を変色させることなく切断したり、表面を彫刻したりすることも可能です。その他、ミシン目の作成にもレーザー加工が利用されます。
レーザーの出力を上げれば厚紙にも対応できますが、焦げて変色しやすくなるといったデメリットもあるため、仕上がりを事前にイメージして調整しなければなりません。
レーザーで加工できる紙とレーザー加工の種類を
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基本的にレーザーは石材を切断することに適していません。条件次第で切断も不可能ではないものの、石材を対象としたレーザー加工は一般的に表面への彫刻やマーキングが主となります。
レーザーの出力を変えることで様々な石材の表面を彫刻することができるので、雑貨から建築部材まで幅広い製造に使われています。反面、加工後の見やすさは石材の種類や元々の色によって異なるため、御影石や大理石といった石材が選ばれやすいことも特徴です。
レーザーで加工できる石材とレーザー加工の種類を
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カーボン素材は耐熱性や耐腐食性に優れ、航空宇宙や自動車、スポーツ用品など多岐にわたる産業で利用されています。レーザーによる加工は非接触かつ高速で行えるため、生産効率を大幅に向上させる事が可能です。複雑な形状や細かいデザインの実現が可能で、製品の品質向上が期待できるでしょう。また、材料の無駄が少なく、製造コストの削減にも寄与します。
レーザーで加工できるカーボン素材とレーザー加工の種類を
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塩ビ(ポリ塩化ビニル:PVC)は難燃性のプラスチック素材であり、耐水性や耐候性に優れていることから配管のパイプなど様々な分野で使われています。
一方、塩ビ素材には「塩素(Cl)」が含まれており、レーザーを当てると化学反応を引き起こして人体に有毒なガスが発生します。そのため、塩ビ素材をレーザーで切断したり加工したりすることはできません。また、塩素ガスにより加工機が腐食される恐れもあります。
レーザーは高密度の光であり、鏡や鏡面加工仕上げが施された素材に対して使用することはできません。実際、鏡のように仕上げられている素材へレーザーを照射したところ、レーザー光が素材を貫通せずに反射して、加工機や作業者へ被害を与えるといった事故も起きています。
なお、どうしても鏡や鏡面素材をレーザー加工する場合、安全に配慮してレーザーの入射角などを計算することが必要です。
有害ガスが発生するには塩素を含む素材だけでなく、テフロン加工が施されている素材や、フッ素を含んでいる素材なども挙げられます。
その他にも有毒ガスの危険性を有する素材は複数考えられるため、必ず加工前に素材のデータシートを確認したり供給元へ問い合わせたりするようにしてください。
レーザー加工機はその種類によって素材の向き・不向きがあります。
ここでは少量生産を行う企業に向け、加工したい素材別におすすめのレーザー加工機をご紹介します。
レーザー加工機はその種類によって素材の向き・不向きがあります。
ここでは、大量生産を行う企業に向け、加工したい素材別におすすめのレーザー加工機をご紹介します。