レーザー加工では、光ファイバを通してレーザー光を伝送し、そのビームをレンズで集光して金属・樹脂・セラミックスなどを加工します。光ファイバには大きく「シングルモードファイバ」と「マルチモードファイバ」があり、加工用途や求められる品質に応じて使い分けられています。本ページでは、特に高精度加工に適した「シングルモードファイバ」について詳しく解説します。
シングルモードファイバとは、コア径(光が通る中心領域)が10μm以下に設計された光ファイバのことです。ファイバ内部で1つの空間モード(基本モード)のみが伝搬するため、ビーム品質(M²)が非常に高く、焦点を極めて小さく絞ることができます。
イメージとしては「一本の細い針のような光が一直線に伝わる」ような状態であり、広がり(発散)が少なく、長距離伝送でもビーム形状が崩れにくいのが特徴です。このため、金属加工のような高精度が求められる現場で非常に重宝されます。
レーザーを照射すると、溶融・蒸発によって「ブローフォール(吹き飛び穴)」が生じます。このブローフォールの直径は、基本的にビーム径と比例する性質があります。
シングルモードファイバはコア径が10μm以下と小さいため、極めて小さく強いビームを作れます。この特性により、以下のような加工で特に高い性能を発揮します。
一方、ビーム径が比較的大きくなるマルチモードファイバは、熱エネルギーを広く与えるのに向いているため、深溶込みが必要な溶接用途に適しています。加工内容に応じて、シングルモード/マルチモードを使い分けることが重要です。
シングルモードファイバーレーザの高出力化は1990年代後半から急速に進展し、2000年には欧米メーカーを中心に100Wクラスが市販されました。その後、ファイバレーザ技術の進化によって出力は指数関数的に伸び、ビーム品質を維持したままの高出力化が可能になりました。
現在では、複数のレーザメーカーが1kW〜2kWクラスのシングルモードファイバーレーザを市販しており、国内でも2kWのシングルモード機が実用導入されています。高出力化が進んだことで、高精度加工はもちろん、ステンレス・アルミ・銅など反射材への加工、厚板の微細切断への応用も進んでいます。
また、シングルモードファイバの市場では以下のようなトレンドも見られます。
このように、シングルモードファイバは「精密加工」「高速高品位加工」を求める需要の拡大とともに市場成長を続けており、今後もレーザー加工の主要技術として進化していくことが期待されています。
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レーザー加工機はその種類によって素材の向き・不向きがあります。
ここでは少量生産を行う企業に向け、加工したい素材別におすすめのレーザー加工機をご紹介します。
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