レーザー加工に適する素材には、金属・樹脂・木材など多くの種類がありますが、それぞれの素材には固有の特性があり、加工方法や用途に応じて使い分けられています。本ページでは、その中でも自動車産業から建築構造物まで幅広く用いられている鋼材「高張力鋼」について、特徴やメリット・注意点をより詳しく解説します。
高張力鋼(ハイテン材)は、炭素量の調整、合金元素の添加、熱処理や圧延条件の最適化によって強度を大幅に引き上げた鋼材です。一般構造用鋼に比べて高い引張強さをもちつつ、必要な部分を薄肉化できるため、軽量化と強度を両立できる点が最大の特徴です。
軽量でありながら高い耐力を確保できるため、普通鋼材と同等以上の強度を持たせながら材料使用量を削減できます。これは、製品の軽量化が求められる自動車分野では特に重要で、車体の軽量化による燃費向上・CO₂排出量削減につながるため、環境性能の改善にも寄与しています。
また、高張力鋼には耐摩耗性・疲労強度に優れたタイプも存在し、衝撃に対して高い抵抗力を発揮するため、車体骨格部品、重機のアーム、架台フレームなど安全性が求められる部位にも採用されています。強度と軽さを両立させることで、構造設計の自由度も向上し、部材の形状最適化(トポロジー最適化)にも適した素材です。
さらに、適切なめっき処理や表面処理を施すことで耐食性も高めやすく、屋外設備・橋梁補強材・コンテナ・鉄塔など、長寿命化が求められる構造物にも用いられています。石油タンクや水圧管など腐食対策が必須の設備でも採用例が多く、過酷な環境下でも安定して使用できます。
強度に優れた一方で、高張力鋼の弱点として「延性(ねばり)が低い」点が挙げられます。これは、材料の塑性変形能力が低く、引張・曲げなどの加工を行う際に割れやすい特性があることを意味します。特に成形性が求められるプレス加工や深絞り加工では、材料破断やスプリングバックが起きやすく、一般鋼材と同じ条件では加工が難しい場合があります。
この課題に対し、鋼材メーカーは加工性の改善・組織制御技術の進化に取り組んでおり、現在では高強度と延性を両立した「ハイテン」の高機能グレード(DP鋼、TRIP鋼、マルテンサイト鋼など)も多数開発されています。これらは自動車の衝突安全性向上に大きく貢献しており、車体骨格部品では不可欠な材料となっています。
レーザー加工においても、材料の強度・熱影響の出方・板厚ばらつきなどを考慮し、最適な加工条件(出力・速度・焦点位置・アシストガスなど)の設定が重要です。高張力鋼は切断時の熱影響部(HAZ)が普通鋼よりも硬くなりやすいため、加工条件を誤ると割れや加工欠陥につながることがあります。安定した品質を得るには、機材選定と加工ノウハウが非常に重要です。
その特性を生かし、高張力鋼は以下のような幅広い分野で使用されています。
軽量化による省エネ効果、安全性向上、耐久性向上の観点から、今後も高張力鋼の採用領域はさらに広がると考えられています。
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レーザー加工機はその種類によって素材の向き・不向きがあります。
ここでは少量生産を行う企業に向け、加工したい素材別におすすめのレーザー加工機をご紹介します。
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