溶接作業における開先加工や、開先加工を用いた開先溶接を具体的に解説。レーザー加工機の導入によって開先加工・開先溶接を効率化するポイントなどもまとめています。
溶接作業を行う前に、作業部分に作られる溝状のくぼみのことを「開先」と呼びます。開先加工とは、このくぼみを事前に設ける作業のことです。また開先を用いて溶接を施すことを開先溶接といいます。
開先加工は溶接する箇所の接合強度を高めて変形を抑える目的があり、溶接作業の品質向上においては重要な技術となります。完全溶け込み溶接を目指している場合には、不可欠といっても差し支えないでしょう。
開先溶接は溶接線がアーク溶接より狭いレーザー溶接にも有効な方法です。レーザー溶接の品質向上において、開先加工は大きなポイントとなります。
溶接部分の両方が平坦な断面である場合に有効な開先です。開先加工の中でもシンプルな加工法の1つであり、レーザー溶接では原則としてギャップ0mmのI形開先を適用します。ただし厚板に対しては使用できません。
文字通りV字型の断面を設ける開先加工であり、加工そのものは比較的容易とされています。V形は厚板でも完全溶け込み溶接を叶えることが可能ですが、厚みが増えると溶着量や変形量も大きくなっていきます。
I形とV形を合わせたような開先加工です。一方が平面、もう一方に角度を付けた開先加工を施すことで、カタカナの「レ」のような断面が形成されます。加工は難しくないものの、溶接施工性の向上には開先角度やルート間隔などの計算が重要です。
鋭角な開先加工であるV型に対して、開先の断面が曲線を描いているケースです。厚板であっても溶着量と変形量を抑えやすい反面、開先加工の難易度はV形開先よりも高くなります。
上記の他にもJ形やX形、K形など様々な形状の開先が存在しており、それぞれ開先加工を行う難易度も異なります。溶着量や変形量、板厚などを考慮した上で、適切な開先を選ぶことが大切です。
溶接加工の品質向上につなげられる反面、開先溶接には精度や技術力が必要となります。適切な開先形状が選択できなかったり、形状に相応しい方法で処理を行えない場合には、逆に溶接精度が悪化して欠陥や不良に繋がることもあります。
開先溶接のミスを防ぐためには、溶接前に開先の状態を検査する開先形状検査を行うことが重要です。開先形状を正しく選択した上で適切な加工を行えば、溶接不良を未然に防ぐことができます。
開先加工を終えた後は、溶接の前にまずルート面の状態やルート間隔、継手のズレの有無といった項目を検査する必要があります。開先加工を施す方法には切削器を用いた機械切断と、ガスやレーザー加工機を使った熱加工などがあり、開先加工の加工法によって開先形状検査のポイントは変化するので注意してください。
レーザー加工機やガスバーナーを用いた熱切断では、加熱と冷却によって金属が膨張、伸縮を起こすことがあります。作業前後で比較して金属の変形により開先の寸法が変わる恐れがあるので、規準の範囲内であるかの確認が必要です。またスラグの有無もチェックが必要となります。
切削器によって開先を設けた場合、切削・切断した面にラミネーションが生じたり、ひずみや変形が生じたりするケースがあります。開先形状検査では、加工部分のルート幅やベベル角度をチェックして誤差の有無をチェックします。
上記の他にも、組立を想定した際の精度や母材全体の寸法といった項目もチェックが必要です。
寸法や精度の検査にはスケールや定規、溶接ゲージなどを利用します。
金属板などの端を突き合わせて溶接する加工法です。開先加工が完全溶け込み溶接が可能であることに対して、突合せ溶接では完全溶け込み溶接を叶えられるとは限りません。
突合せ溶接に開先加工を融合させることで、完全溶け込み溶接が可能な開先溶接となります。
厚板への突合せ溶接を行おうとする場合、溶接後の精度を考慮して開先溶接を選択することが一般的です。
隅肉溶接とは、例えば溶接するもの同士を垂直に接触させたり、重ねたりして、その接合部を溶着する方法を指します。互いの金属板そのものは溶接されておらず、それぞれの板が接している部分を溶着させて囲むため、溶接強度が隅肉部分の深さや面積に比例していくことも特徴です。
ですが結合強度に関しては、完全溶け込み溶接が可能である開先溶接の方が優れているといえるでしょう。
UV、グリーン、1μmの3波長を自動切り替え、パルス幅は340fsから10psまで可変。各種材料に合ったレーザー光の選択&適した非熱加工が行えます。
20KWの高出力で20,000㎜/minを超える高速切断が可能、プラズマを上回る切断速度を実現。40㎜までの厚板切断に対応しています。
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