このページでは、レーザー加工に適しているプラスチック・樹脂の特徴や加工の種類、またプラスチック・樹脂をレーザーで加工する際の注意点などをまとめて解説しています。プラスチック・樹脂のレーザー加工を依頼する時のポイントも紹介していますので参考にしてください。
プラスチック・樹脂には汎用プラスチックと呼ばれるタイプの素材から、工業用プラスチックと呼ばれるタイプの素材まで様々な種類があり、さらに板状のプラスチック・樹脂やシート状のものなど形状の自由度が高いことも特徴です。
基本的には大半のプラスチック・樹脂へレーザー加工を施すことが可能ですが、素材の性質や加工の目的によって適しているもの、適していないものがあり、それぞれの特性を把握しておきましょう。
プラスチック・樹脂をレーザーによってカットしたり穴を開けたりする場合、レーザーの熱によって焼き切ることがポイントです。
レーザーの出力によって加工できるプラスチック・樹脂の厚みが変化し、専用ソフトであらかじめデザインデータを作成しておけば、それに合わせてレーザー加工機が自動的にカッティングなどを行ってくれます。
マーキングとは、プラスチック・樹脂がレーザーの熱や化学反応によって変色する特性を活かして、素材の表面に模様や文字をプリントする加工です。表面を削ったり溶かしたりしなくてもデザインをプリントできるため、既存の形状を失わずに加工できることがメリットです。
レーザーの出力を調整して、プラスチック・樹脂の表面を一部だけ削り取り、目的のデザインやテキストなどを彫刻することもできます。
色のついているプラスチック・樹脂にも彫刻できる他、デザインやサイズをデジタルデータとして編集できることが強みです。
反面、どうしても表面に一定の深さの凹凸が生じてしまいます。
レーザーのエネルギーはプラスチック・樹脂へ吸収されやすく、一定以上の出力のレーザーが当たっている部分は瞬間的に加熱されて素材が蒸発します。そのため、レーザー出力を調整することで目的のプラスチック・樹脂を自由に焼き切ることが可能です。
また、加工部分のプラスチック・樹脂はレーザーによって気化しており、切断面がなめらかで角度も一定になることが特徴です。
レーザーによるカッティングや彫刻、マーキングはあらかじめ編集・作成したデジタルデータにもとづいて自動的に実行されます。そのため、高性能な加工機であれば小サイズのプラスチック・樹脂にも複雑な加工を施せる上、仕上がりの品質を一定に保つことが可能です。
各部位へのレーザー照射を行う場合、例えば固定具などで対象をしっかりと固定する必要がありません。また、カッティングの際に削りカスや切りくずといったものが発生しないため、レーザー加工を行った後で作業スペースや加工機の清掃が不要という点も重要です。
プラスチック・樹脂と一口にいっても、製品や素材としての種類は様々であり、それぞれに適しているレーザー加工の種類や仕上がりの特徴があり、あるいはそもそもレーザー加工へあまり適していないプラスチック・樹脂の種類なども存在します。
ここでは代表的なプラスチック・樹脂の種類をまとめました。
ポリプロピレン(PP)は、ポリオレフィン系樹脂の一種であり、容器や家庭用品、医療機器など、さまざまな分野で広く利用されているプラスチック素材です。
このポリプロピレンをレーザー加工する際には、基本的にCO2レーザーが用いられるのが一般的です。
変色を抑えて均一のエッジを再現しやすく、レーザー加工に適している素材です。
ポリエチレンは、ポリプロピレンに似ているプラスチック・樹脂であり、ポリプロピレンよりはやや重くなっています。ただし、水に浮く比重の軽さや柔らかい性質が特徴です。雑貨や包装用フィルム、ポリ袋に使われている素材です。
ポリエチレンはさらに複数の種類が存在していますが、基本的にどのポリエチレンでもCO2レーザーで加工します。
ポリカーボネートは耐衝撃性に優れたプラスチック・樹脂です。複数の品質グレードが存在しており、それぞれ別の名称で販売されています。耐熱性にも優れており、機械部品や熱湯を入れる哺乳瓶などに使われていることが特徴です。
CO2レーザーによって滑らかにカットできますが、変色しやすいといったデメリットもあります。
ポリスチレンまたはスチレンはビニールポリマーの1種であり、熱可塑性プラスチックとして分類されます。レーザーによる切断加工では、切断面がわずかに溶けたような滑らかさを持つ仕上がりとなり、素材が変色することもほとんどありません。
反面、コントラストの強いデザインを求めるようなレーザーマーキングには適していない素材です。
ABSプラスチックは「アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)」の略称であり、複数のプラスチック・樹脂の特性を融合された素材です。耐衝撃性や強度に優れており、射出成型しやすくカラーバリエーションも豊富なので幅広い分野で活用されています。
カット・彫刻はCO2レーザーで、マーキングはCO2レーザーやファイバーレーザーなどで行われます。
レーザー加工に適していないプラスチック・樹脂として、特に熱に弱い素材や、塩素(Cl)が含有されている塩化ビニールといった素材が一般的です。
熱に弱すぎるプラスチック・樹脂の場合、切断面がレーザーの影響で過剰に溶けてしまったり、切断面が再固着してしまって変形してしまったりといったデメリットがあります。
また塩素が含有されている素材はレーザー加工によって有毒ガスが発生して、作業者や加工機へダメージを与える恐れがあります。
プラスチックは気温や室温、湿度などの影響を受けやすい素材です。そのため、例えば朝と昼の気温差によって微妙なサイズ差や歪みが生じてしまい、金属レベルの精密なレーザー加工を行えない場合があります。
また、長期保管している間に素材が変形・変質してしまい、製作段階では問題なかったものでも実際に使用する時点で不具合が生じる恐れもあるでしょう。
プラスチック・樹脂には非常に多くの種類や製品が存在しており、用途や使用場所によって細かく使い分けられています。加えて、プラスチック・樹脂によってレーザー加工との相性や適合性も異なっており、まず目的のプラスチック・樹脂にどのようなレーザー加工が適しているのか正しく確認することが欠かせません。
そのため、可能であればサンプル品やテスト加工などを依頼して、事前に仕上がりや加工の性質をチェックしておくようにしてください。
レーザーコネクトは、bodor・Epilog・KERNなど世界的メーカーのレーザー加工機を扱う専門商社です。販売・修理・メンテナンスから部品供給、カスタマイズまでワンストップで対応し、海外製品で起こりがちな「導入・サポートへの不安」を日本品質のアフターケアで解消します。導入時の設置・講習はもちろん、稼働後のトラブル対応・技術相談・スペアパーツ供給まで、安心して運用できる体制が整っています。
さらに、約2,000台の販売実績を通じて蓄積したノウハウをもとに、「少量生産」「試作用途」「内製化」「ディスプレイ加工」「金属加工業」など、業種別の課題に応じた最適な機種を提案。省スペース高性能の「bodor iシリーズ」、高精度彫刻の「Fusion Edge/Pro」、大型ワーク対応の「OptiFlex」、高精細マーキングの「LSF」、厚板加工までこなす「HG-Farley」など、多様なラインアップから最適な一台を選べます。切断・マーキング・彫刻の品質向上や外注コスト削減、納期短縮を目指す企業にとって、心強いパートナーとなる存在です。
| 品名 | i5 | i6 | i7 |
|---|---|---|---|
| 加工エリア | 1500×1000mm | 2000×1000mm | 3048×1524mm |
| 寸法 | 2980×2220×1970mm | 4049×1955×2230mm | 4955×2320×2200mm |
| 出力 | 1500W、3000W、6000W | 1500W、3000W、6000W | 12000W、6000W、3000W、1500W |
| 位置決め精度 | ±0.05mm/m | ||
| 再配置の精度 | ±0.03mm | ||
| 最大リンケージ速度 | 91m/min | ||
| 最大加速度 | 1.5G | ||
bodor iシリーズは、省スペースながらハイパワーを発揮する万能ファイバーレーザー加工機です。加工エリアはi5〜i7まで3サイズ展開され、出力は1500W~最大12000Wまで選択可能。±0.05mm/mの高精度と91m/minの高速動作により、薄板〜中厚板の金属加工を効率的かつ高品質に実現します。1.5Gの高加速度に対応し、生産性を大幅に向上できる点も魅力です。限られたスペースでも導入しやすく、外注削減・内製化の強力な推進力となるシリーズです。
レーザー加工機はその種類によって素材の向き・不向きがあります。
ここでは少量生産を行う企業に向け、加工したい素材別におすすめのレーザー加工機をご紹介します。
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