溝加工とは対象の表面に「溝」を形成する加工法です。機械工具を使って対象の表面を削ったり、レーザー加工機を使って任意の部位を削り取って溝を掘ったりと複数の加工方法があります。
対象物の表面の一部を削り取ったり彫ったりして、溝を形成する加工法を溝加工と言います。溝を作る目的は部材をはめ込む際に固定する、または異なる部品を取り付けるためのガイドラインにするなど様々です。また溝はワークの外径だけでなく内径に形成するケースもあります。
溝加工の加工方法は様々です。フライス盤を使って表面を切削したり、鍛造によって溝を形成したり、金型を使った鋳造によって凹凸を形成したり、ワークや目的によって適切な加工方法を選択します。
ワークに「キー型(長方形型)の溝」を形成する加工法をキー溝加工と言います。一般的なキー溝加工で作られる溝は1つだけです。部品同士をはめ込んで固定する溝を作ることを目的に、キー溝加工を行います。
キー溝加工では、溝フライス・側フライスなどの切削工具やワイヤー放電加工機のような加工機を使用します。
アルファベットの「T」を逆さまにしたような溝を形成する加工法です。溝の広くなっている下部分へボルトやナットなどの頭部をはめ込んで、部材を固定します。
溝の広い下部分を形成するために、キー溝加工の工程に加えてT溝フライスやTスロットカッターなどといったT溝加工用の切削工具を使用することが一般的です。
歯車のような長方形の溝を複数形成する加工法をスプライン加工といいます。一方インボリュートスプライン加工は、スプライン加工よりも溝が細く数も多い加工法です。
スプライン加工もインボリュートスプライン加工も軸と回転部品を固定する場合に用いられます。溝が複数形成されるため軸と回転部品の強固な結合が可能になり、トルクを伝達する機構で多く採用されています。
T溝加工では溝が逆さのT型になっているのに対して、アリ溝加工は底辺を平にしたY型のような見た目になっている点が特徴です。アリ溝加工はOリングを装着させるために作られるため「Oリング溝加工」と呼ばれることもあります。加工する工具はアリ溝フライスと呼ばれる専用の切削工具です。
アリ溝加工はOリングをはめ込む場合だけでなく、正確な位置決めが必要な機構におけるガイドラインとしても使用されます。
溝加工の工程を短縮するためには、1回の加工で溝加工を施す「一発溝入れ」を用いることがあります。一発溝入れでは加工面の仕上げ加工がされないため、仕上げ精度が低下しやすく、品質面に課題があります。
そのため溝加工では生産性の向上と品質の維持といった2つの課題を同時に解決する方法を追求していく必要があるのです。
ワークに深い溝加工を施す場合、切削工具に対する物理的負担が大きくなりやすいことも問題です。当然ながら、切削工具への負担が大きくなるほど、工具の寿命は縮まります。少しでも切削工具を長く保つためには、高性能なクーラントの使用やコーティングの見直しなどといったメンテナンスが必要です。
切削工具によってワークの表面を削り取り溝を形成する場合、ワークや工具に切粉が付着します。そのため溝加工では切粉の除去や加工後の清掃・洗浄などが必要です。深い溝や複雑な形状の溝には切粉が溜まりやすく、切粉の残留が原因となった作動不良や部材の不安定化といったリスクは無視できません。
切粉の排出不良を防止するために、クーラント液や切削油の適切な供給、切削条件の見直しなどを行いましょう。
レーザー光をワーク表面に照射して、幅1mm以下の微細な溝を形成する溝加工のことをいいます。
レーザーを使った溝加工ではパーティクルの発生を防げるほか、工具の物理的な接触がないため切削工具の損耗や破損といった問題を回避できることがメリットです。
またパーティクルの発生が抑制されて作業効率の向上や非接触型のため安全性の確保が見込まれます。
UV、グリーン、1μmの3波長を自動切り替え、パルス幅は340fsから10psまで可変。各種材料に合ったレーザー光の選択&適した非熱加工が行えます。
20KWの高出力で20,000㎜/minを超える高速切断が可能、プラズマを上回る切断速度を実現。40㎜までの厚板切断に対応しています。
木材・アクリルはもちろん、紙、樹脂、革まで幅広い対象物に刻印・切断が可能。つまようじほどの細かな対象物にも微細な処理を施すことができます。