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プラズマ切断

プラズマ切断は、プラズマと呼ばれる状態の物質を利用して行うプラズマ加工の1種です。このページでは、プラズマ切断の特徴や、レーザー加工機によるレーザー切断(レーザー加工)との違いなどについてまとめました。

プラズマ切断(プラズマ加工)とは

プラズマ切断はプラズマを利用したプラズマ加工の1つであり、高温のプラズマのエネルギーによって対象となる金属素材などを切断する工業加工の1種です。

レーザー媒質を励起させて発振させたレーザー光のエネルギーで素材を切断するレーザー加工に対して、プラズマ切断では超高温に熱した気体原子が膨張し、自由電子とイオンに分離して電離気体になっている状態の物質をエネルギー源にすることが特徴です。

プラズマの特徴としては電気的な中性や導電性、反応性の高さなどが挙げられ、燃焼ガスを使ったガス切断や、レーザー切断などが適していない場合にプラズマ切断が利用されます。

プラズマ切断の原理

そもそも「プラズマ」とは固体・液体・気体といった物質の状態に対して「第4の状態」とも呼ばれるものであり、上述したように超高温による反応で自由電子とイオンが分離している状態を指します。

この状態のプラズマは非常に高温かつ高反応性を有する状態になっており、瞬間的な切断によって断面の変形や融解を防ぎやすいことが特徴です。

具体的なプラズマ切断の原理としては、通電によって電極と加工対象の金属の間にプラズマアークを生じさせ、その時に発生するプラズマ気流を熱源として金属素材を切断します。そのためプラズマ切断では通電性を有する素材が対象になります。

プラズマ切断のメリット

プラズマ切断のメリットとして、まず電気を通して電極との間でプラズマアークを発生させられる素材であれば、ほとんどのものを加工できる点が挙げられるでしょう。また、プラズマアークの周辺温度は約2万度にまで上昇し、3~20mm程度の厚みであればレーザー切断やガス切断よりも高速で素材の加工を実現することが可能です。そのため、切断面を変形させたり融解させたりといったリスクを抑えやすく、精密曲線などの切断であってもスムーズに実行することができます。

プラズマ切断はナノメートル単位のサイズの穴あけ加工やマーキングにも対応しており、半導体集積回路の製造工程のように微少加工が求められる分野でも利用されていることは見逃せません。

また、プラズマ切断はガスの燃焼反応を伴わないため、アルミニウム合金のような参加しやすい素材でもスムーズに対処することが可能です。加えてプラズマ切断は操作性にも優れており、作業員の経験や熟達した技術が求められるガス切断と比べて、作業の属人性が低く、量産体制における品質を維持しやすいといったメリットもあります。

プラズマ切断のデメリット

プラズマ切断を含めたプラズマ加工には通電設備が必須であり、電力を利用できる環境でなければ使用できません。そのため、ガスボンベを持ち運べるガス切断に比べると、作業環境に制限がある点はデメリットです。また使用可能な電源も200Vとなっており、100Vのみしか利用できない環境には適していない点も重要です。

その他、プラズマ切断では溶解した金属屑(スラグ)の処理を加工と並行で実施しなければなりません。適切にスラグが処理できていない場合、工程を進める中で作業性が悪化して、製品の品質が低下します。

プラズマ切断機の種類

エアプラズマ切断機

エアプラズマ切断機は、プラズマの熱エネルギーによって対象となる金属素材を溶融し、圧縮空気のパワーによって加工を切断していくシステムです。通電性のある素材であればエアプラズマ切断機で切断加工することが可能となっており、スムーズに曲線を切断するなど加工性に優れて用途の利便性が高いといった特徴があります。

酸素プラズマ切断機

酸素プラズマ切断機は、プラズマガスとして用いる物質に酸素を使ったプラズマ切断機です。酸素プラズマ切断機のメリットとして、酸化しやすい金属素材などを加工する場合、プラズマガスのエネルギーが上昇して切断加工が一層に強化されるといったことが挙げられます。反面、酸化しない素材に対しては切断速度を高められない点がデメリットとなります。

アルゴン・水素プラズマ切断機

プラズマガスを発生させる際にアルゴンや水素といった物質を利用するものがアルゴン・水素プラズマ切断機です。アルゴン・水素プラズマ切断機は、特に非鉄金属の切断加工に適性が高いシステムであり、ステンレスの切断加工などに利用されています。

水素ガスを利用している場合、酸化還元反応によって素材の酸化を抑えられるため、酸化しやすい物質にも利用しやすいことがポイントです。

窒素プラズマ切断機

プラズマガスとして窒素を利用している加工機が窒素プラズマ切断機です。なお、アルゴン・水素プラズマ切断機でも一部窒素ガスを利用しているものがあります。

窒素プラズマ切断機は、プラズマ切断機としての歴史が比較的古く、様々な材質のワークを切断加工できる点がメリットです。反面、他のプラズマ切断機と比べて切断面の品質が低下しやすく、環境負荷も高いといったことがデメリットです。

プラズマ切断を使用するために必要な資格

プラズマ切断機を操作して、プラズマ切断を行うために国家資格などの専門資格は必要としません。またガス切断に比べて操作の属人性が低く、誰が作業してもある程度の品質を維持しやすいことが特徴です。

ただし、プラズマ切断はアーク溶接機を使った切断加工に区分されるため、労働安全衛生規則第36条第3号で規定される特別教育を受講した人でなければ作業できない点に注意してください。

そのため、ガス切断機のような資格は必要としないものの、特別教育による知識の習得が前提となります。

プラズマ切断とレーザー切断の違い・比較

プラズマ切断機は物質の第4状態とも呼ばれるプラズマを利用してワークの切断加工を行いますが、レーザー切断ではレーザー媒質を励起させて発振させたレーザー光のエネルギーを使ってワークを切断加工します。

プラズマ切断は通電性のある素材にしか加工できない一方、レーザー切断であれば紙や木など絶縁素材を含めた幅広いワークを加工することが可能です。一方、レーザーは光であり、反射率の高い素材や、光を透過してしまう素材では適切に加工できない可能性もあるでしょう。そのため紙や木材、皮革製品などの切断にはレーザー切断を利用し、ガラスやアクリルの切断にはプラズマ切断を利用するといった使い分けもあります。

ただし、レーザー加工機はレーザーの波長や出力によって適性ワークが変わるため、レーザー加工機を適切に選択・調節することで透過性や反射性の高いワークでも切断加工することが可能です。

プラズマ切断とガス切断の違い・比較

ガスを燃焼させて発生する熱エネルギーによってワークを切断するガス切断と、高温状態のプラズマの熱エネルギーを利用して切断するプラズマ切断は、ある意味で類似性があるといえます。しかしガス切断を行うためには専門資格を取得しなければならず、特別教育を受講しなければならないものの無資格者でも作業できるプラズマ切断機と比べると、属人性が高くなっています。

一方、プラズマ切断は電源を確保しなければ使用できませんが、ガス切断は燃焼ガスを用意できれば無電源環境でも作業することが可能です。

その他、ガス切断は電気を通さない物質でも加工することができる反面、ガスの燃焼反応によって素材が酸化しやすくなるため、酸化の影響を抑えたい場合はプラズマ切断が適しています。

まとめ

プラズマ切断は、物質を超高温にして自由電子とイオンが分離した第4状態に変化させ、その高熱を利用して金属素材などを加工する切断方法です。通電性のある素材であれば幅広い対象を加工できる上、資格を必要とせず操作性が簡単といったメリットがあります。

一方、電源がなければ利用できず、電気を通さない素材には利用できないといったデメリットもあります。

プラズマ切断やガス切断、レーザー切断など、それぞれの特性を理解した上で適切な仕組みを利用することが重要です。

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