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光変調器

光変調器は光通信分野などで活用されているシステムやデバイスであり、レーザー光へ情報を載せるために光の強度や位相を変調します。このページでは、光変調の仕組みや光変調器の種類などについてまとめましたので、参考にしてください。

光変調器とは

光変調器は、光の性質を変化・調整するための機器やデバイスの総称です。

「光」は周波数や強度によってさまざまな特性を持ち、例えば金属ワークを切断するレーザー加工機に使用するレーザー光と、光通信に用いるレーザー光では、それぞれ性質が異なります。

光変調器は、レーザー光の位相や強度を任意に変調することで、レーザー光へ情報を載せることが可能であり、光通信分野で情報伝達などを目的として利用されています。

光の変調方法

半導体レーザーの場合、電気的な制御によって直接光を変調できますが、固体レーザーやガスレーザーの場合は半導体レーザーのような直接変調を行えません。そのため、使用するレーザーの種類や媒体に応じて外部から光変調(外部変調)を行います。

直接変調

半導体レーザーは、半導体を素材として構成される回路素子に電気を流すことでレーザーを発振させるものであり、発光原理は照明装置などに使われる発光ダイオード(LED)と同様です。

半導体レーザーでは電気的なコントロールによって発振されるレーザーの性質を直接制御でき、これを「直接変調」と呼びます。

直接変調できる半導体レーザーであれば、外部に改めて光変調器を設置して制御する必要がなく、シンプルかつ低コストで光変調を行うことができます。そのため、光ディスク装置などでは直接変調が採用されています。

しかし、直接変調は半導体レーザーの応答速度によってコントロールのレスポンスが左右され、高速通信には不向きです。さらに、光信号がゆがむ「チャープ」という現象も発生しやすく、長距離の光通信には適しません。

外部変調

固体レーザーやガスレーザーのように直接変調を行えないレーザー発振の場合、外部から専用デバイスを使って光変調を行います。その際に使用されるデバイスが「光変調器」です。

外部変調には、搬送波の振幅を用いて情報伝送するアナログ変調と、搬送波に対して不連続の変調を行うデジタル変調(バイナリ)の2種類があり、現代ではデジタル変調によって膨大な情報量を超高速で変調・通信できるように研究が進められています。

外部変調はチャープが発生しにくく、デバイスの能力によって変調の高速化も可能ですが、光変調器を別途用意しなければならず、直接変調に比べてコストが増大し、機構も複雑化するというデメリットがあります。

とはいえ、現代社会では長距離・超高速・大容量通信のニーズが高まっており、半導体レーザーでも光変調器を使って外部変調を行うケースが少なくありません。

光変調器の種類

光変調器として用いられるデバイスには、大きく以下の3種類があります。

EOM(電気光学変調器)

EOM(電気光学変調器)は電気光学効果を活用して、レーザー光の強度や位相を変調するデバイスであり、偏光状態を電気的にコントロールすることが可能です。

電気光学効果とは、レーザー光が電場や電場の影響を受けた物質に作用する際に発生する現象であり、屈折率や吸光度などが変化します。

言い換えれば、このような電気的作用の影響をコントロールすることで、レーザー光の性質を任意に制御できるようになります。

EOMの特徴として、数十GHzの変調帯域幅を有することが挙げられます。一般的にはニオブ酸リチウムに電圧を加えることでレーザー光の屈折率が変化するポッケルス効果を利用して、デバイスが構成されていることもポイントです。

ただし、EOMには課題も存在し、それを解決するために制御機構が複雑化したり、専用のデバイスが別途必要になったりすることもあります。

AOM(音響光学変調器)

AOM(音響光学変調器)は音(音波)の作用によって光を変調するシステムおよびデバイスです。

レーザー光が特定の媒体に入る際、その媒体の性質に応じてレーザー光の屈折率が変化する現象を音響光学効果と呼びます。光学結晶などに超音波を照射することでレーザー光の屈折率を任意にコントロールすることが可能であり、このシステムはレーザー加工機の出力位置制御にも用いられています。

AOMでは、デバイスに内蔵された光学結晶に超音波を作用させることで、音響光学効果をコントロールして光を変調します。

AOMは幅広い波長の光(380〜2500nm)で利用できるデバイスですが、変調速度が結晶を伝わる音響速度やビーム径に依存するため、高速化にはビーム径を小さくしなければなりません。

SOM(半導体光変調器)

SOM(半導体光変調器)は、メイン機構として半導体光増幅器(SOA)を用いた光変調器です。

半導体光増幅器(SOA)は、光信号を増幅するために使用されるデバイスであり、半導体レーザーから入射された光をCW半導体レーザードライバで増幅し、長距離通信などで生じる伝送ロスを補完するために使われます。

SOMはCW駆動の半導体レーザーからSOAにレーザー光を入射し、GHz速度でスイッチのオンオフを切り換えて光を変調する仕組みです。

SOMは光学的に安定した制御が可能で、変調帯域幅も広く、挿入損失を抑えられるというメリットがあります。反面、レーザーの誤動作を誘発させないようにアイソレータを使わなければならず、SOAに偏光ファイバーを使用している場合は消光比に偏光依存性が生じるという課題もあります。

その他の光変調器

EOMやAOM、SOMといった光変調器のほかにも、さまざまな光変調器が開発されています。

上記3種以外の光変調器としては、電解吸収効果を使った「電解吸収型変調器(EA)」や熱光学効果を使う「熱光学変調器」などがあります。

電解吸収型変調器(EA)は電界吸収効果(Electro Absorption)を用いた光変調器であり、電解吸収効果は半導体の量子井戸に電界を加えた際に、伝導帯や価電子帯の作用によって光の吸収量が変化するという現象です。

一方、熱光学変調器に活用される熱光学効果とは、温度によって物質の屈折率が変化する現象であり、熱光学変調器では熱光学効果によって光のルートを切り替えてスイッチ化し、光の変調に用います。

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