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ファイバーレーザー加工機とは?

ファイバーレーザー加工機とは?基礎知識と仕組み

ファイバーレーザー加工機の仕組み

ファイバーレーザー加工機は、従来のCO2レーザー加工機とは異なる新しい方式のレーザー加工機です。その最大の特徴は、レーザー光を生み出す発振器の媒質に光ファイバーを使用している点にあります。具体的には、レアアース(イッテルビウムなど)を添加した光ファイバーの芯(コア)に、励起光(ポンプ光)を入射させることでレーザー光を発生・増幅させます。

この仕組みによって、生成されたレーザー光はそのまま光ファイバーを通じて加工ヘッドまで伝送されます。CO2レーザーのように多数のミラーを使用して光を誘導する必要がないため、光軸調整の手間やメンテナンスコストを大幅に削減できるという構造上の利点を持っています。また、波長が約1μm(マイクロメートル)と短く、金属への吸収率が非常に高いことも大きな特徴です。

対応できる主な材質と加工領域

ファイバーレーザー加工機が対応できる材質は非常に多岐にわたります。鉄やステンレスといった一般的な金属はもちろんのこと、CO2レーザーでは加工が困難であった銅、真鍮、アルミなどの高反射材に対しても高い加工適性を持っています。これは、ファイバーレーザーの波長が短く、これらの金属に効率よく吸収されるためです。

加工領域については、特に薄板から中厚板(数mm〜20mm程度、機種による)の切断において圧倒的なパフォーマンスを発揮します。波長が短いためレーザー光を非常に小さく絞ることができ、エネルギー密度が高まることで超高速での切断が可能となるためです。一方、極端に厚い板の加工においては、CO2レーザーの方が断面品質や速度で有利な場合もあるため、適材適所での運用が求められます。

従来のCO2レーザー加工機との決定的な違い

発振器・伝送方式の違い

従来のCO2レーザー加工機とファイバーレーザー加工機の最も大きな違いは、レーザー光を生み出す「発振器」と、それを加工ヘッドまで届ける「伝送方式」にあります。CO2レーザーは、炭酸ガスなどを媒質としてレーザー光を発生させ、複数の反射ミラーを使って空間を伝送させます。そのため、定期的なミラーの清掃や光軸調整といったメンテナンスが欠かせません。

一方でファイバーレーザーは、光ファイバー自体を媒質としてレーザー光を発振します。発生したレーザー光は、そのまま柔軟な光ファイバーケーブルを通ってダイレクトに加工ヘッドへ送られます。この伝送用ミラーを一切使用しない光ケーブル伝送により、可動部のブレによる光軸のズレが起こらず、メンテナンスの手間を大幅に削減できるという強みがあります。

波長の違いがもたらす加工への影響

もうひとつの決定的な違いは、レーザー光の「波長」です。CO2レーザーの波長が10.6μm(マイクロメートル)であるのに対し、ファイバーレーザーの波長は約1.06μmと、CO2レーザーの約10分の1の短さとなっています。この波長の短さは、金属に対する光の吸収率に直結するため、実際の加工性能に多大な影響を与えます。

波長が短いファイバーレーザーは、金属表面での反射が少なく、エネルギーが効率よく材料に吸収されます。そのため、CO2レーザーでは光が反射して発振器を痛めるリスクがあり加工が困難だった、アルミ、銅、真鍮などの高反射材でも安定して切断することが可能です。また、ビーム径を極小に絞ることができるため、より高いエネルギー密度で材料を素早く溶融させることができます。

ファイバーレーザー加工機を導入する5つのメリット

薄板・中厚板の圧倒的な加工スピード

ファイバーレーザー加工機を導入する最大のメリットの一つは、薄板から中厚板にかけての圧倒的な加工スピードです。ファイバーレーザーは波長が短く、ビーム径を非常に小さく絞ることができるため、金属に対するエネルギー密度が極めて高くなります。これにより、照射された部分の金属が瞬時に溶融し、素早い切断が可能となります。

特に厚さが数ミリから十数ミリ程度の薄板・中厚板の加工においては、従来のCO2レーザー加工機と比較して数倍から数十倍に達する飛躍的な加工速度を実現します。加工時間の短縮は、そのまま工場全体の生産性向上や納期の短縮に直結するため、製造現場にとって非常に大きな恩恵をもたらします。

高反射材(アルミ・銅・真鍮)の加工が可能

従来のCO2レーザー加工機が抱えていた大きな課題として、アルミ、銅、真鍮といった高反射材の加工が困難である点が挙げられていました。これらの金属はレーザー光を反射しやすく、反射した光が発振器に戻ることで機械本体を損傷させるリスクがあったためです。そのため、別の加工方法を選択せざるを得ないケースが多く存在しました。

しかし、ファイバーレーザー加工機は波長がCO2レーザーの約10分の1と短く、金属への光吸収率が非常に高いため、反射を大幅に抑えることができます。これにより、これまでレーザーでの切断が敬遠されていた高反射材も安全かつ高品質に加工できるようになりました。対応できる材質の幅が広がることは、新規案件の獲得にも繋がります。

ランニングコストと消費電力の大幅な削減

設備を運用していく上で、毎月のランニングコストは経営に直結する重要な要素です。ファイバーレーザー加工機は、電気エネルギーをレーザー光に変換する効率(発振効率)が約30%と非常に高く、CO2レーザーの約10%と比較して極めて優秀です。そのため、同等の出力であっても消費電力を大幅に抑えることができます。

さらに、CO2レーザーでは必須であったレーザー発振用のガス(ヘリウムや窒素などの混合ガス)を一切必要としません。消費電力の大幅なカットに加え、高価な発振用ガスの補充費用も不要になるため、長期的な視点で見るとランニングコストを劇的に削減できるという強力なメリットがあります。

ミラーレスによるメンテナンスフリー化

前述の通り、ファイバーレーザー加工機は光ファイバーケーブルを用いてレーザー光を加工ヘッドまで直接伝送します。空間を伝送させるための反射ミラーを複数使用するCO2レーザーとは異なり、光学部品が外気に触れる経路が存在しません。そのため、定期的なミラーの清掃や交換といった作業から解放されます。

また、可動部の振動による光軸のズレも発生しないため、熟練の技術を要する光軸調整の作業も不要となります。このように、煩雑な日常のメンテナンスがほぼ不要(メンテナンスフリー)になることで、設備の稼働停止時間(ダウンタイム)を最小限に抑え、保守部品にかかるコストと現場担当者の負担を大幅に軽減できます。

設備の省スペース化

ファイバーレーザー加工機は、機械本体のコンパクトさという点でも優れています。レーザーを発生させる発振器そのものの構造がシンプルであり、光ファイバー内に機能が集約されているため、大掛かりなガス循環装置や冷却機構を必要とするCO2レーザーの発振器に比べて、大幅な小型化が実現されています。

発振器が小型であることに加え、光ファイバーケーブルによる柔軟な配線が可能なため、機械全体の設置面積(フットプリント)を小さく抑えることができます。限られた工場内のスペースを有効活用できる省スペース設計は、新たな設備の導入や、より効率的な生産ラインのレイアウト変更を検討する上で非常に有利に働きます。

導入前に知っておくべきデメリットと注意点

導入時の初期費用(イニシャルコスト)の高さ

ファイバーレーザー加工機は生産性を劇的に向上させる多くのメリットを持つ一方で、導入の最大のハードルとなるのが初期費用(イニシャルコスト)の高さです。光ファイバーを用いた高性能な発振器や特殊な光学部品を使用しているため、従来のCO2レーザー加工機と比較して機械本体の価格が高額になる傾向があります。特に高出力のモデルを求める場合、その価格差はさらに顕著になります。

しかし、設備投資を検討する際は、購入時の本体価格だけでなく、導入後のランニングコストを含めた総所有コスト(TCO)で評価することが重要です。電気代の節約やメンテナンス費用の削減効果が非常に大きいため、稼働率が高い現場であれば長期的には初期費用の差額を十分に回収し、トータルコストを抑えることが可能です。導入前に、自社の稼働状況に合わせた綿密な費用対効果のシミュレーションを行うことが欠かせません。

厚板加工における切断面の品質とスピード

薄板や中厚板の加工では圧倒的なパフォーマンスを発揮するファイバーレーザーですが、極端に厚い板(厚板)の加工においては特有の注意点が存在します。ファイバーレーザーは波長が短くビーム径を細く絞れる特性上、切断幅(カーフ)が狭くなりすぎます。そのため、厚い板の奥深くまでレーザーが到達した際、溶けた金属(ドロス)をアシストガスで下へスムーズに吹き飛ばすことが難しくなるという物理的な課題があります。

その結果、厚板の切断においてはスピードが低下しやすく、切断面の仕上がり(面粗度)に関しても、CO2レーザー加工機の方がなめらかで綺麗に仕上がる傾向にあります。もし自社のメインの加工業務が厚さ20mmを超えるような軟鋼などの厚板切断である場合は、CO2レーザーの方が適している可能性も考慮し、扱う材質と板厚の割合をしっかりと見極める必要があります。

自社に最適なレーザー加工環境を構築するためのポイント

加工用途とランニングコストの総合的なシミュレーション

レーザー加工機を選定する際、最も重要なのは「自社でメインとなる加工用途」を正確に把握することです。これまで解説してきた通り、ファイバーレーザー加工機は薄板から中厚板の超高速加工や、銅・アルミといった高反射材の切断において圧倒的な強みを発揮します。一方で、極端な厚板の切断が業務の大半を占める場合は、切断面の美しさや安定性の面でCO2レーザー加工機の方が適しているケースも少なくありません。自社が扱う材質と板厚の割合をリストアップし、それぞれの機種の得意分野と照らし合わせることが失敗しない設備選びの第一歩となります。

加工用途の見極めに加えて欠かせないのが、長期的な視点でのコストシミュレーションです。ファイバーレーザー加工機は初期費用が高額になりがちですが、消費電力の低さやレーザーガスの不要化、メンテナンスフリーといった特徴により、毎月のランニングコストを劇的に抑えることができます。そのため、導入時の機械本体の見積もり金額だけで判断するのではなく、5年後・10年後の稼働状況を見据えた総合的な費用対効果を算出することが経営的にも不可欠です。自社の生産体制に最適な加工環境を構築するためにも、まずは実機でのテストカットや詳細なコスト試算を行うことをおすすめします。

まとめ

ファイバーレーザー加工機は、従来のCO2レーザーでは難しかった高反射材の切断や、薄板・中厚板における圧倒的な加工スピードを実現する画期的な設備です。初期費用の高さや極端な厚板加工での留意点はあるものの、それを補って余りあるメリットを現場にもたらします。

特に、省電力化や発振用ガス不要によるランニングコストの大幅な削減、そしてミラーレス構造によるメンテナンスフリー化は、長期的な工場運営において非常に大きな強みとなります。自社の加工用途や扱う材質をしっかりと見極め、トータルコストを見据えた最適なレーザー加工機を選定することで、生産性の飛躍的な向上と競争力の強化に繋げてください。

【生産規模別】
少量生産で
おすすめのレーザー加工機3選

レーザー加工機はその種類によって素材の向き・不向きがあります。
ここでは少量生産を行う企業に向け、加工したい素材別におすすめのレーザー加工機をご紹介します。

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bodor
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引用元:レーザーコネクト公式HP
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引用元:日本レーザー公式HP
(https://www.japanlaser.co.jp/product/crylas_fqcw266-series/)
  • UVレーザー
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  • プリント基板工房
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引用元:smartDIYs公式HP
(https://www.smartdiys.com/etcher-laser-pro/)
  • CO2レーザー
こんな現場におすすめ
  • 革製品工房
  • ガラス工房
  • 雑貨製造業
  • オーダーメイド製作業など
【生産規模別】
大量生産向けの
レーザー加工機3選

レーザー加工機はその種類によって素材の向き・不向きがあります。
ここでは、大量生産を行う企業に向け、加工したい素材別におすすめのレーザー加工機をご紹介します。

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三菱電機
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引用元:三菱電機公式HP
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こんな業種におすすめ
  • 自動車部品製造業
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引用元:ビアメカニクス公式HP
(https://www.viamechanics.com/products/laser/1582/)
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こんな業種におすすめ
  • 電子部品工場
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引用元:AIZ公式HP
(https://www.aizmachinery.jp/jadc-1007-150)
  • CO2レーザー
こんな業種におすすめ
  • 家具工場
  • 木工メーカー
  • インテリア製造業など