MARKET GUIDE
ファイバーレーザー加工機のシェアは?
市場動向と主要メーカーを解説
ファイバーレーザー加工機について、すべての地域・出力・用途を同じ条件で比較したメーカー別シェアは、公開情報だけでは確認できません。市場規模を示す資料は複数ありますが、「ファイバーレーザー全体」と「産業用の切断機」では調査対象が異なるからです。
結論:公開情報だけで信頼できる統一シェア表を作ることはできません。市場の方向性をつかんだうえで、各社の販売実績・製品構成・自動化・保守体制を条件別に比較することが重要です。
シェアを見る前に確認したい市場の範囲
- ファイバーレーザー市場
- 光ファイバーを増幅媒体としてレーザー光を発生させる技術の市場です。切断機のほか、溶接、マーキング、医療、センサー、通信なども含まれることがあります。
- 産業用ファイバーレーザー切断機市場
- レーザーを搭載した切断設備に対象を絞った市場です。「レーザー加工機市場」にはCO2レーザーなど、ファイバー以外の方式を含む場合もあります。
売上高・販売台数・注目ランキングを分けて読む
メーカーのシェアを見るときは、何を数えた順位なのかも確認します。売上高は販売金額、販売台数は売れた台数、累積設置台数は一定期間に設置された総数を基準とするため、同じ順位になるとは限りません。
製品比較サイトのランキングも別物です。Metoreeのファイバーレーザー切断機ページは「注目ランキング」と「クリックシェア」を掲載しています。サイト内での注目度を見る参考にはなりますが、売上高や販売台数に基づく市場占有率ではありません。
公開データから分かる3つのこと
アジア太平洋地域の比重が大きい
Fortune Business Insightsによると、世界のファイバーレーザー市場は2025年に46.3億米ドルでした。このうちアジア太平洋地域は22.7億米ドルで、49.01%を占めています。
ただし、この数字はファイバーレーザー加工機だけの地域別シェアではありません。材料加工に加え、医療・美容、機器・センサー、通信なども含む市場の構成比です。特定の加工機メーカーが日本国内でどの程度のシェアを持つかまでは判断できません。
材料加工と高出力化が市場動向として表れている
同調査では、材料加工がファイバーレーザー市場で最大の用途とされています。また、2kW以上の高出力セグメントは、2026年に世界市場の49.96%を占めると予測されています。
厚板の切断・溶接、加工速度、生産性への要求が高出力化の背景です。ただし、市場で高出力機が伸びていることと、自社に高出力機が必要かどうかは別の話です。素材・板厚・加工内容に合う出力を確認します。
参照元:Fortune Business Insights「ファイバーレーザー市場」
メーカー別の統一シェア表は作れない
公開されているデータは、それぞれ答えられる質問が異なります。
| データ | このデータから分かること | このデータだけでは分からないこと |
|---|---|---|
| ファイバーレーザー市場 | 地域別・用途別・出力別の市場動向 | 加工機メーカーの販売順位 |
| 産業用ファイバーレーザー切断機市場 | 切断機に限定した市場規模と成長予測 | 公開されていないメーカー別シェア |
| メーカー公表の販売台数 | 対象条件におけるメーカーの販売規模 | 売上高シェアや日本国内シェア |
| 製品サイトのクリックシェア | そのサイト内での注目度 | 実際の販売台数や設置台数 |
市場規模・シェアの数字が異なる理由
Fortune Business Insightsが示す2025年の46.3億米ドルは、材料加工、医療、通信などを含むファイバーレーザー市場の規模です。
一方、マーケットリサーチセンターが示す2025年の22.54億米ドルは、世界の産業用ファイバーレーザー切断機に対象を絞った市場規模です。同資料では、2032年に31.76億米ドルへ拡大すると予測されています。
同じ2025年でも数字が違うのは、前者がファイバーレーザーの用途を広く含み、後者が産業用の切断機に限定しているためです。どちらかが誤っていると判断するのではなく、何を数えた数字なのかを確認します。
参照元:株式会社マーケットリサーチセンター/ATPress「産業用ファイバーレーザー切断機の世界市場」
数字を導入判断に使うときの注意点
市場の成長性を確認する場合は、市場の定義・地域・基準年をそろえて時系列を見ます。メーカー候補を探す場合は、販売台数や売上高の対象条件に加え、製品構成、自動化、保守体制を確認します。
市場規模が大きいというだけでは、そのメーカーの加工品質や自社材料との相性は分かりません。条件の違う数値を平均したり、ひとつの順位へ統合したりせず、それぞれが示す範囲を分けて使います。
シェアだけでは決められない加工機の選び方
- 素材・板厚・加工内容から必要な仕様を整理する 主に加工する素材、板厚、部品形状、必要な出力、加工範囲を先に整理します。候補を比べるときは、同じ素材・板厚・部品形状を前提にします。
- 自動化する工程を先に決める 自動化の範囲には、材料のロード・アンロード、仕分け、保管があります。現在必要な工程と将来追加したい工程を分けておくと、各社の提案を同じ条件で見比べられます。
- 保守・部品供給を仕様と分けずに確認する 見積もり時には、保守契約の対象、修理の受付方法、部品供給、導入後の機能追加や周辺設備への対応を確認します。保証年数だけでなく、保証に必要な契約条件もそろえて比較します。
- 本体価格と導入後コストを分けて見る 加工ガス、消耗品、保守、材料歩留まりなどを確認します。公開された削減率だけで費用順位を作らず、素材・稼働条件・自動化範囲をそろえた見積もりで比較します。
シェア情報を比較するときのチェックリスト
- 対象はレーザー発振器、加工機、切断機のどれか
- ファイバー方式だけか、CO2などほかの方式を含むか
- 世界市場、日本市場、特定地域のどれか
- 基準年はいつか。実績値か予測値か
- 売上高、販売台数、累積設置台数、クリック数のどれか
- No.1表記の対象出力や用途に条件が付いていないか
- 調査元、算定方法、比較対象が公開されているか
条件が違う数字は、そのまま順位表にまとめられません。シェア情報で市場の方向性や候補メーカーを知った後は、加工条件、自動化構成、保守内容、導入後コストを同じ条件で確認します。
まとめ
公開データからは、アジア太平洋地域の比重が大きく、材料加工や高出力化がファイバーレーザー市場の動向として表れていることが分かります。
一方、メーカー別では、対象地域・出力・基準年・集計指標をそろえた公開データが不足しています。条件の異なる市場規模や販売実績を集めても、信頼できる統一シェア表にはなりません。